存続難しい自治会、行政が合併仲介へ 福井県福井市、市街地で機能維持へ促進事業

福井県福井市の小規模自治会と加入率

 福井県福井市と市自治会連合会は、世帯数が減少している自治会の機能維持に向けた取り組みを進めている。2022年度から、マンションや集落単位の自治会を除き、今後の存続が難しいと思われる市街地の5世帯以下の14自治会に合併を促す事業を始めた。市まち未来創造課は「共助には日頃からの付き合いが大切。機能を維持できるよう積極的に取り組んでいく」としている。

 22年4月現在、市内には1535自治会があり、7万8312世帯が自治会に加入。自治会数は合併や解散、市営住宅などの解体により昨年よりも七つ減った。加入率は核家族化による世帯数の増加などを要因に年々減少。今年4月時点で74.1%だった。昨年度から、11月を加入促進強化月間と定め、未加入世帯への集中的なチラシのポスティングなどに取り組んでいる。

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 同課によると自治会の世帯数が減り「活動が成り立たなくなってきた」との声があり、2018年度には役職の負担の重さなどを要因に「乾徳10自治会」が解散。市と同連合会は、促進事業を行うことで解散を選ぶ前に合併を考えてもらいたいという。

 本年度は5世帯以下に絞り合併の進め方が分からない自治会の仲介役として、市や同連合会が助言や調整などを行っている。8月から地区連合会長と市の担当者が、自治会合併で活動費を助成する補助制度の説明、相談のため対象自治会を訪問。合併先の目星が付いていれば、協議の場を設けるなど働き掛けていく。

 一方で、市は世帯数が減っている集落単位の自治会機能を維持するため、19年度から「集落支援員」を配置。集落出身者1人が月1回以上、集落の活動に参加するなどして課題や悩みを吸い上げ行政との橋渡しを行っている。22年度現在、7集落と芦見、上味見の二つの地域が制度を利用し支援員計9人が活動する。

 同課は市中心部では合併の促進を進めるとともに、周縁部の集落では支援員を配置し「両輪で自治会の維持を図っていく」方針。

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