陸上知的少年男子200 臼木「大会新デビュー」 とちぎ大会

 第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」は29日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで開会式が行われ、3日間にわたる熱戦の幕が上がった。第1日は各地で13競技を実施。長崎県勢は陸上知的少年男子200メートル(区分27)6組で臼木大悟(希望が丘高等特支)が22秒82の大会新Vを飾った。
 同じく陸上知的少年男子200メートル(区分27)3組の西山蓮(祐里会姉川病院)も24秒12で金メダルを獲得。水泳肢体男子2部25メートル平泳ぎ(区分7)の森田拓郎(県教委)も28秒80で優勝した。
 ソフトボール知的は1回戦で栃木に10-4で快勝。続く準決勝は愛知に0-7で敗れ、3位決定戦に回った。1回戦に臨んだバレーボール聴覚の男子は三重、女子は大阪市にいずれも0-2で敗れた。
 開会式は秋篠宮ご夫妻をお迎えして開催。長崎県選手団は旗手を務めた西山を先頭に、陸上、ボッチャの選手らが堂々と行進した。
 第2日は30日、各地で14競技を実施する。

【陸上知的少年男子200メートル(区分27)】22秒82の大会新Vでデビュー戦を飾った臼木(希望が丘高等特支)=宇都宮市、カンセキスタジアムとちぎ

◎別次元の加速「世界で活躍したい」
 「パリ世代」のスプリンターが堂々の大会新デビューを飾った。陸上知的少年男子200メートル(区分27)に初出場した臼木(希望が丘高等特支)が22秒82で圧勝。知的障がい者(ID)日本記録保持者として注目されていただけに、レース後は「大きな舞台で緊張した。勝てて良かった」と安堵(あんど)の言葉が漏れた。
 別次元の加速で飛び出し、カーブを抜けるころには勝利を確信していた。午後5時前の出走で、長崎より辺りが暗くなるのが早く、気温も低いという慣れない条件下でのレースだったが、地力の違いを証明した。
 昨年、高校2年時にマークした自己ベストは100メートルが10秒77、200メートルが21秒54。その後、ID記録の対象となる登録を済ませると、両種目で従来の記録を塗り替えた。2年後に控えるパリパラリンピックに向けて、各方面から期待が寄せられている。
 健常者と同じ舞台で走る機会が多く、本格的なパラ戦線への転向には葛藤もあった。それでも「世界で活躍したいから」と挑戦を決意した。この日は午前中に開会式に参加。全国各地の選手団や式典の盛大な催しを目の当たりにして、十人十色の障害があること、その中でチャレンジすることの意義をあらためてかみしめた。「僕も立ち向かおうと思った」
 何もかもが初めての体験で刺激が多い今大会。30日は100メートル、31日は400メートルリレーと3日間、フル稼働する予定だ。目標は3種目すべて大会新。「調子はいい。いつも通りやれれば大丈夫」。挑戦を始めたばかりの18歳は、臆さずに立ち向かっていく。


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