九州高校野球 しのぎを削ってレベル向上 「選抜」初の長崎県勢2校同時出場へ

厳しい県大会を勝ち抜いて九州準優勝へ駆け上がった長崎日大の選手たち。第2代表の海星とともに選抜2校出場を確実なものにした=コザしんきんスタジアム

 待ち遠しい春になりそうだ。長崎日大が準優勝、海星が4強と健闘した今大会。敗れた試合内容を考慮しても、九州4枠の来年3月の選抜大会(甲子園)に長崎県勢2校が初めて同時出場することはほぼ確実となった。1月に正式決定すれば、県勢の選出も4年連続に更新。「長崎はレベルが上がった」「県内の構図が面白い」。そんな声が県内外から上がっている。
 長崎日大と海星が飛び抜けた存在ではなく、他校を含めて“県勢”として結果を出している点が大きい。秋の九州大会は2017年に創成館、20年に大崎が優勝。昨夏の甲子園は長崎商が強豪を連破して16強入りすると、今春は長崎日大が近江(滋賀)とタイブレークの熱戦を演じ、夏は海星が名門天理(奈良)などを打ち破った。
 海星の加藤監督は「隙を見せたらすぐ落ちる。苦しいけど自分たちの成長につながる。負けて選手が入って来なくなるのは当たり前。長崎は激戦だと思う」と話し、長崎日大の平山監督も「互いのいいところを吸収し、しのぎを削っている」。
 ライバル同士が共闘もする。今回の九州大会前には長崎日大と海星が2年連続で代表校同士の“壮行試合”を実施。11月も既に試合を組んだといい、両監督はそのことについて他県の記者から「珍しいことだと思うが…」と尋ねられていた。私立に限らず、公立校にも熱心な指導者が多く、各地区で連係して独自の手法でレベルアップを図る動きも出ている。
 そうした好循環は、有望な中学生たちに県外ではなく県内の高校を選んでもらうという“強化の基本”に結び付く可能性もある。「長崎で絶対的な力がないと全国では勝てない」と言われてきた県全体が、底上げされてきた。その中で、各校、各選手が「絶対的な力」を求め続ければ、長崎はさらに強くなるだろう。
 今後は年間で最も苦しいと言われる冬の練習に入っていく。この日の表彰式後、長崎日大の主将の平尾は宣言した。「海星や他のライバルに負けないくらいやる」


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