岡山城 再オープン前に報道陣公開 天守閣の展示一新 歴史と魅力発信

岡山城天守閣の内覧会で公開された5階のプロジェクションマッピング。城下町の形成過程を分かりやすく表現する

 「令和の大改修」を経て11月3日にリニューアルオープンする岡山城(岡山市北区丸の内)で31日、報道関係者向けの内覧会があった。市が掲げた改修のコンセプトは「歴史を伝える城、集う城」。全面刷新された天守閣内には城下町の成り立ちを投影する映像設備や体験型のブースが新設され、烏城の歴史と魅力を分かりやすく紹介している。

 映像設備のうち、城下町の形成過程を映像で表現するプロジェクションマッピングは5階で視聴でき、歴代城主の妻たちの視点で構成されたナレーションが斬新だ。関ケ原の戦い(1600年)をテーマにした3階の戦国合戦シアターは岡山城ゆかりの宇喜多秀家、池田輝政、小早川秀秋に焦点を当て、その活躍や心情をドラマ仕立てで描いている。

 1階には刀の重さを体感したり、江戸時代の駕籠(かご)に乗って写真撮影できたりする体験型展示を設けた。最上階の6階には空襲で焼失する前の木造天守閣に施されていた釣り鐘形の「華頭(かとう)窓」を再現。2、4階など複数のフロアで歴史パネルや文化財、復元模型を展観し、監修した岡山市出身の歴史学者磯田道史さん(51)の解説を随所にちりばめた。

 岡山城は1966年の再建後初となる大規模改修が昨年6月から行われ、天守閣の外壁は創建当時の「漆黒」に塗り直された。市観光振興課の小野田伸学芸員は「初心者にも分かりやすく、岡山のシンボルにふさわしい展示となった。出合い、発見、驚きがあり、何度でも足を運んでほしい」と呼びかける。

 オープン初日の3日は午前8時45分から天守閣前でセレモニーがある。城内や近くの石山公園では6日までの4日間、鉄砲隊、武将隊の演武といった多彩なイベントが展開される。

1階体験型展示ブースには武士が使った刀のレプリカが置かれ、ずしりとした重みを体感できる

© 株式会社山陽新聞社