政策経費40%減 長崎県2023年度予算編成方針 「子ども施策」などに重点配分

 長崎県は31日、2023年度当初予算の編成方針を発表した。厳しい財政状況が続く中、施策の選択と集中を進めるため、継続事業の政策的経費に前年度比40%減の予算要求基準(シーリング)を設定。本年度の30%減からさらに削減率を引き上げた。シーリングなどで捻出する約15億円は、大石賢吾知事が県政の基軸に据える「子ども施策」などに重点配分される見通し。
 23年度予算編成では、▽全世代の豊かで安全・安心な暮らしの確保▽みんながチャレンジできる環境づくり▽「長崎県版デジタル社会」の実現▽選ばれる長崎県のためのまちづくり、戦略的な情報発信・ブランディング-の4点を「重点検討テーマ」に設定。シーリングなどで捻出する約15億円のうち約10億円は、この4点に基づく事業に振り分ける見通し。各部局は3事業まで要求でき、県財政課は「広く新規施策を求めたい」としている。
 残りの約5億円は25年度まで5年間の「県総合計画」推進枠に充てる予定。臨時的な対応が必要となる新型コロナウイルス対策事業は、今後の感染状況や国の対策などを踏まえて別途整理するとした。
 同課によると、県の「貯金」に当たる財源調整3基金の21年度末の残高は263億円で、ピークだった02年度(601億円)の半分以下。21年度は基金を切り崩さない財政運営を達成したが、社会保障関係費や公債費の増加に加え、原油価格・物価高騰などの影響が見込まれ、「財政状況の厳しさは増している」との認識を示している。


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