8日は親子で「皆既月食」観測 倉敷科学センター学芸員に聞く

8日に見られる皆既月食の進行イメージ((C)アストロアーツ、倉敷科学センター提供)

 月全体が地球の影に入る「皆既月食」が8日夜、起こる。晴れていれば午後7時過ぎから約1時間半にわたる皆既状態、前後の部分食を含めればトータルで3時間超もの天体ショーが楽しめる。今回は月が天王星を隠す「天王星食」も同時に発生する。倉敷科学センター(倉敷市福田町古新田)の三島和久学芸員(52)に観測ポイントを尋ねた。

 太陽―地球―月が一直線に並び、太陽光が月に当たらなくなる皆既月食。岡山県内で観測できるのは昨年5月以来で、次は2025年9月。「望遠鏡がなくても楽しめるので、お子さんの最初の天体観測にぴったり。しかも今回はあまり夜更かしせずに済む絶好のチャンス」。三島学芸員はそう言って親子での観測を勧める。

 当日は午後6時8分に欠け始め、7時16分から8時42分まで皆既状態になった後、9時49分に満月に戻る。月はまだ昇りきる前、東の空の低い位置で欠け出すが、「見晴らしの良い場所ならどこでも眺められる」。その際に「スケッチ用紙を持参し、欠けた部分を黒く塗りつぶした月を描いていくと手軽に記録もできる」。

 天王星が月の後ろに隠れる天王星食は、午後8時28分~9時20分。こちらは望遠鏡や双眼鏡がないと観測は難しいものの、国内で皆既月食中に惑星食が見られるのは、実に安土桃山時代の1580年以来(この時は土星食)、442年ぶりという。「月の裏側に入ってしまうと見えないが、その前後に深い青みがかった天王星が確認できるはず。一見の価値があるのでぜひ探してもらえれば」

 同センターはユーチューブでの中継も行う予定。三島学芸員は「普段の月の表情とは違う、美しく幻想的な光景を満喫してほしい」と呼びかけている。

県内天文施設で観望会

 8日の皆既月食に合わせ、岡山、倉敷市など県内の天文施設で観望会が催される。

 県生涯学習センター・人と科学の未来館サイピア(岡山市北区伊島町)は午後6時からスタート。センターの閉館時間の都合で午後8時半までだが、東側テラスに望遠鏡を5台ほど並べ、プラネタリウム担当者と就実大天文部員が皆既月食の仕組みなどを解説する。無料。申し込み不要。曇天で中止の場合はホームページで知らせる。問い合わせはサイピア(086―251―9752)。

 倉敷科学センターは午後7時から。屋上で学芸員らの説明を受けながら、望遠鏡を使って月や天王星の様子を観察する。無料。定員120人(申し込み先着)。小学生以下は保護者同伴。問い合わせは同センター(086―454―0300)。

 岡山天文博物館(浅口市)、美星天文台(井原市)、竜天天文台公園(赤磐市)も観測会の参加を募っている。

「今回は絶好の観測チャンス。ぜひ楽しんで」と呼びかける三島学芸員。手にする観測用紙はセンターのホームページから無料でダウンロードできる

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