「諫早を防災の先進地に」 本明川水害に検討会発足

本明川の浸水危険箇所が記された地図を囲み、意見を出し合う関係者=諫早市役所

 長崎県諫早市街地を流れる本明川の水害に、流域の自治会や町内会が協力して備えようと、防災行動計画(タイムライン)を話し合う検討会が4日、発足した。来年の出水期までに計3回の会合を開き、同市では初めてとなる「地区コミュニティータイムライン」を策定。地域の防災力向上を図る。
 1957年7月の諫早大水害では、1級河川の本明川などが氾濫。河川改修工事で治水機能は改善しているが、市によると、2020年7月豪雨では38年ぶりに氾濫危険水位を超えた。
 タイムラインは防災対応を時系列で定めた計画。市内ではこれまでも町単位でタイムラインを作った事例はあったが、隣接する自治会や町内会が協力し合い、行政や消防、警察などの関係機関とも連携した地区のタイムラインを策定、運用することで住民の迅速な避難行動につなげる。
 検討会を構成するのは本明川左岸、右岸の計25自治会・町内会。市役所であった第1回検討会では自治会長、町内会長らが四つのグループに分かれ、東京大大学院の松尾一郎客員教授の助言を受けながら、自分たちの地域にどのような災害のリスクがあるのかなどを洗い出した。
 今後は、いざという時に「いつ」「どこに」「どうやって」避難するかや、地区内で協力できることを話し合い、エリアごとのタイムラインを作る。市自治会連合会の古賀文朗会長(82)は「自分たちの命は自分たちで守るという意識につなげ、諫早を防災の先進地にしたい」と話した。

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