島原で「災害対策全国会議」 長崎県初開催 地域防災力強化策を報告

地域防災力強化を進める取り組みなどを報告する古川市長=島原市城内1丁目、島原文化会館

 各地の自治体職員らが集まり、大規模災害への備えや情報を共有する「自治体災害対策全国会議」が26日、長崎県島原市内で開かれた。雲仙・普賢岳噴火災害の経験と教訓を踏まえ、地域防災力の強化を進める同市の報告などがあった。
 実行委が開き11回目。本県開催は初めて。全国約20自治体の職員ら約320人が参加した。
 古川隆三郎市長は2019年度以降、自主防災組織を強化するため、消防退職者など実務経験者らを自主防災会の専任代表に据え、組織の再構築を進めている現状を紹介した。
 近年、住民交流の希薄化などの課題がある一方、自主防災会の再構築をきっかけに、新たな地域コミュニティーづくりが進展しているとし、「住民自ら、いざという時に支え合い、地域の課題を解決できるようになる」と述べた。
 噴火災害で甚大な被害を受けた同市安中地区は、住民主体の防災避難訓練を毎年実施。古川市長は30年余りの噴火災害の教訓について「今後も全国との情報共有に取り組むことが、市民と全国の皆さんへの恩返しにつながる」と述べた。
 九州大の清水洋名誉教授は火山防災の課題などを講演した。火山災害は火砕流や土石流など多岐にわたる上、長期化する傾向を説明。「災害の渦中でも復旧が必要」とした上で「火山と共存しながら生きる知恵が必要。完全に治まってから復興すればいいというわけにいかない点が火山災害対応の難しさ」と指摘した。27日はパネルディスカッションなどがある。


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