ヒット商品の現在

 11月に入り、この1年の流行や、話題のあれこれを振り返る季節になった。ヒット商品もいろいろあるが、中でも眠りを深く、目覚めをすっきりさせるという乳酸菌ドリンクは品薄が続いているという▲ずっと人々に親しまれてきた商品が「睡眠の質を向上させる」といった新しい効果を加えて、耳目を集める。最近の大当たりには、そんな傾向があるらしい▲「おいしく」「幅広く」という価値を加えてヒットする商品もある。冷凍食品は昨年、「家庭用」の生産量が初めて「業務用」を上回った。質がぐんと上がったためだという▲「自宅に蓄えておくもの」が、今では「自宅で好きな時に、おいしく食べられるもの」に変わった。スーパーでもコンビニでも、冷凍の商品棚に目をやれば、豊富な品ぞろえに驚かされる▲全国的には、冷凍食品だけの広い売り場ができたり、有名店の高級メニューをそろえたりと、流通業界に変化が見られる。家庭でも2台目の冷凍庫を買う動きが広がっているという▲乳酸菌ドリンクが売れたのは「コロナ疲れ」を癒やしたい人々の心の表れといわれ、コロナ禍での「まとめ買い」がヒットの引き金だった冷凍食品はいま、食生活をいくらか変えつつある。「コロナ後の新しい生活」が少し見えてきたような、そんな1年にも思える。(徹)

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