パラバド世界選手権で障害者のための新たな取り組み ロボットでリモート観戦も

パラバドミントンの世界選手権が11月6日まで東京都内で開催されていました。会場に行くことができない障害者のための取り組みを取材しました。また、熱戦から一夜明けたインドネシアの代表団がホストタウンの町田市を訪れ、子どもたちと触れ合いました。

2021年に開催された東京パラリンピックでバドミントンの会場となった代々木第一体育館で行われたのが、パラバドミントン世界選手権です。13回目となる今回、初めて日本で開催されました。

世界最高峰の大会は試合だけでなく、最先端の技術を使った新たな観戦の取り組みも行われました。この日限定で設置されたロボットの額の穴にあるのは「カメラ」です。そしてリアルタイムの試合映像は、会場で応援したくても行けない障害がある人たちに届けられていました。この「リモート観戦」は今年から東京都が始めたもので、今回のパラバドミントン世界選手権が4回目となりました。午前中には足立区、午後には武蔵野市の障害者施設で利用者はそれぞれおよそ1時間ずつ施設にいながら試合を観戦し、日本代表の選手を応援しました。彼らが見守る会場には東京パラリンピックで金メダルを獲得した国分寺市出身の山崎悠麻選手がパラリンピックの時と同じく里見紗李奈選手とのペアが登場し、女子ダブルスの1次リーグ初戦でストレート勝ちし、リモートでの声援に応えました。

ロボットはこの日、試合中のコートだけでなく、エントランスやラウンジにも設置されました。入場してきた観客や選手たちとスピーカーを通じて話すこともでき、利用した人たちは笑顔でいろいろな国の人たちと気軽にコミュニケーションを取っていました。足立区の施設「あだちの里 綾瀬ひまわり園」の葉山友美副主任は「利用者の表情も良かったし盛り上がることができた。また同じような企画があったら対象施設として立候補したい」、武蔵野市の施設「わくらす武蔵野」の関口萌ユニットリーダーは「車いすの人は普段でも外出のハードルが高いので、貴重な経験になった」と話していました。

分身ロボットの名前は「OriHime」で、天の川で彦星を待つ織姫のように「遠く離れた相手とも会えますように」という願いを込めて付けられたということです。

<インドネシア選手団が学校訪問 小学生と笑顔のラリー>

その世界選手権に出場していたインドネシア代表選手団が11月7日、町田市の小学校を訪れ、バドミントン教室を行いました。

このイベントは町田市がインドネシアの2020東京大会のホストタウンとなっている関係で実現しました。60人の児童たちはまず教室でインドネシアについて勉強し、その後、体育館に場所を移して東京パラリンピックで合わせて11個のメダルを獲得した、バドミントンを国技としている選手たちの技を見学しました。選手たちも大会が行われていた前日までと違い、終始笑顔で子どもたちとのコミュニケーションを楽しんでいました。参加した子どもたちは「優しく教えてくれた。楽しかった。ありがとうございました」「変なところに打っても打ち返してくれてすごいなと思った。僕はサッカーをしていて、サッカーでオリンピックの金メダルを取りたいと思った」などと話しました。

最後に実物のメダルを触らせてもらい、子どもたちにとっては貴重な経験となりました。

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