活水学院本館の設計者 米建築家夫妻を紹介 27日まで、ナガサキピースミュージアム

3日に開かれたギャラリートークで、活水学院本館について解説する山田教授(右)=長崎市、ナガサキピースミュージアム

 長崎市東山手町の活水学院本館(1926年完成)の設計者である米国人建築家夫妻の業績を紹介する展覧会が、同市松が枝町のナガサキピースミュージアムで開かれている。これまで見つかっていなかった、同本館の設計図などを展示。観覧無料、27日まで(月曜休館)。
 夫妻は、大正時代から昭和にかけて活動したジョシュア・ヴォーゲル(1889~1970年)とヘレン・ホリスター(1887~1947年)。
 関西に定住して国内の洋風建築を手がけた米建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)の事務所スタッフとして13年ごろ相次ぎ来日し、結婚。17年に帰国後は米を拠点に活動した。20年代に中国・上海に滞在してアジア各地の建築物を手がけた際、活水学院側の依頼で赤い屋根が特徴的な4階建て校舎を設計した。
 展覧会は、長崎総合科学大工学部の山田由香里教授(建築史)が企画。2015年に夫妻の研究に着手し、16年に2人の母校、米オハイオ州立大の図書館に夫妻の長男が寄贈した生前の資料を調査。活水学院本館の設計図など多数の資料を確認した。
 展覧会では同本館の写真・図面をはじめ、国内の建物を中心にした建築当時の写真や設計図、日本で暮らした時期の夫妻の直筆メモなど50点以上を展示。
 山田教授は「ヴォーゲルはヴォーリズの日本での黎明(れいめい)期を支えた人物。ホリスターは日本で活動した初めての女性建築家ではないか」と話している。会場で12日午前11時からと19、26の両日各午後2時から、山田教授によるギャラリートークがある。
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 12日午後2時半から、長崎市興善町の市立図書館で記念講演会があり、夫妻らの業績に詳しい吉田与志也・立命館大上席研究員が講演。入場無料、要事前申し込み。問い合わせは長崎楽会の若杉さん(電090.9582.7366)。


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