生活保護関連で2231万円不当 会計検査院調査、宇都宮など3市

宇都宮市役所

 会計検査院は7日に公表した2021年度決算検査報告で、栃木県の宇都宮、栃木、小山の各市に交付した生活保護費の原資となる「生活扶助費等負担金」について、計2231万円を不当な支出と判断した。3市とも過大に受け取った同負担金を国に返還していなかった。

 生活保護は一般的に、月初めに1カ月分が支給される。就労などで自治体が生活保護の支給を止めた場合、その翌日以降の支給額の返還を受給者に求める必要がある。

 宇都宮市と栃木市では、受給者の失踪や死亡、刑務所への入所などで、過大に支給した生活保護費の返還や徴収が困難になったという。未納の場合でもすぐに国へ報告し負担金を国に返す必要があるが、手続きに不備があった。会計検査院は「負担金の算定が適正でなかった」などと指摘した。

 宇都宮市は2017~20年度にかけて602万円、栃木市は16~20年度にかけて1073万円が不当と判断された。いずれも国へ返還する。未納者へは家族や相続人などを通じて徴収する。

 宇都宮市の担当者は「すぐに国へ返還すべきという認識や処理の手続きが共有されていなかった」と説明。栃木市の担当者は「再発防止に努めたい」とした。

 小山市は、入院や福祉施設に入所した受給者に対して生活保護費を減額する必要があったが、していなかった。その後、対象者から返還を受けたが、国への報告様式に記載せず、市の雑入として処理しており、17~20年度で556万円が不当と判断された。今後、国に返還する。同市の担当者は「手続きを十分に精査しなかったことによるミス。二度と起きないようにしたい」と話した。

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