442年ぶりの天体ショー 皆既月食と天王星食が共演 平塚で観測会

皆既月食の左下に天王星が近づく=午後7時34分

 満月が地球の影にすっぽり入る皆既月食が8日夜、県内をはじめ全国各地で観測された。今回は天王星が月に隠れる「天王星食」も同時に発生。皆既月食と惑星食の“共演”は約442年ぶりで、神秘的な天体ショーに各地で歓声が上がった。

 午後6時9分ごろ、東の夜空に浮かんだ月の一部が欠け始めた。同7時16分ごろには月が完全に覆われ、約1時間半ほど皆既月食に。天王星食は同8時40分ごろに始まり、約40分にわたり観測できた。天王星は明るさが6等で月が明るいと望遠鏡を使っても観測は難しいが、皆既月食で空が暗くなることで観測できた。

 平塚市では、市博物館と市民が共同で調査・研究するワーキンググループ「天体観察会」が観測会を開催。屋上に天文ファンが集まり、世紀の瞬間を写真や動画などで記録した。

 地球の影に覆われ赤銅色に変わった月の左下に天王星が確認できると、学芸員が極めて珍しい現象だと解説。参加した市内の男性(63)は「朝から楽しみにしていた。仕事中も東の空の天気が気になっていたが、無事に見られて良かった」と声を弾ませた。

 国立天文台によると、皆既月食中に惑星食が起こるのは1580年7月の「土星食」以来。次回は約322年後に当たる2344年7月の土星食という。

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