「ボールを追いかける日々が戻ってきた」ハンディ乗り越えアンプティサッカーにかける思い 日本代表選手も誕生!【SDGs】 

みなさんは「アンプティサッカー」をご存知でしょうか?腕や足を切断するなどの障がいのある人たちのサッカーです。静岡県内にはアンプティサッカーのW杯で活躍した日本代表選手もいます。

「アンプティサッカー」は、クラッチと呼ばれる補助具を使ってプレイする7人制のサッカーです。静岡市葵区を中心に活動する「ガネーシャ静岡AFC」は、2016年に発足した静岡初のアンプティサッカーチームです。

後藤大輝選手(20)は1歳の時、先天性の障がいで右足首から下を切断しました。高校2年まで義足を履いて高校のサッカー部に所属していましたが、ひょんなことからアンプティサッカーの世界に入っていきます。

<ガネーシャ静岡AFC 後藤大輝選手>

「義足が壊れた時に、装具士の会社で(アンプティサッカーの)ポスターを見つけた。それまで普通のサッカーをしていて、やってみたいという思いと障がい者が集まっていることも知らなかったし、その環境に行ってみたいという興味本位でチームに連絡した」

もともと身体能力が高かった後藤選手。めきめきと実力をつけ、ついに2022年、アンプティサッカーの日本代表に選ばれました。

<ガネーシャ静岡AFC 後藤大輝選手>

「(アンプティサッカーは)サッカーを始めた頃の気持ちを思い出させてくれた。また、ボールを追いかけられる日々が戻ってきたというか、青春みたいな感じだったので、どっぷりハマった」

後藤選手は、ガネーシャのスポンサーでもある雨漏りの調査や修繕などを行う会社で3年前から働いています。

<会社の先輩>

「サッカーの戦略などを学んでいると思うので、仕事のやり方や現場のノウハウを早く吸収してくれている」

会社の社長も、その働きぶりに太鼓判を押します。

<建装 杉山穣社長>

「きょうも朝礼で、他の社員から『後藤君は一生懸命やってくれる、ありがとうございます』という言葉ももらっていて、活躍の幅が広がっているので、本当に頼もしい」

同じくガネーシャに所属する若杉幸治さん(47)。焼津市の女子サッカーチームでは、子どもたちへの指導もしています。ガネーシャの選手たちは、身体的なハンディをほとんど感じさせません。

ガネーシャでは、健常者にもアンプティサッカーの楽しさを知っておうと、体験会などのイベントも開いています。

<参加者>

「楽しかった」

「普通のサッカーと違って、腕も使って筋肉も使うので、普通のサッカーの倍疲れた」

<三重県からの参加者>

「今日は、シュートのやり方を教えてもらったけど、怖さがある。2回くらい転んだ」

選手たちがアンプティサッカーを心から楽しみ、日常生活も前向きに過ごすことが障がい者への理解を深めます。

<ガネーシャ静岡AFC 後藤大輝選手>

「アンプティサッカーは、障がい者サッカーで一番おもしろい。自分たちがやってもおもしろいし、健常者がやっても絶対はまる。(競技を)広げていくには、SNSとかを取り入れば、より若い世代や親に伝わると思うので、さらに、広がっていくと思う」

© 静岡放送株式会社