福井県主催の「福井城セミナー『未来を描こう、県民の城』」が11月12日、福井市の福井県国際交流会館であった。城郭ライターの萩原さちこさんが福井城の見どころなどを解説。「目には見えない歴史的背景にも価値がある。建物の復元だけでなく、歴史をたどることができる残存した石垣やお堀にも目を向けてほしい」と呼びかけた。
同セミナーは有識者らでつくる福井城址活用検討懇話会の提言を踏まえ、活用法を検討する3回シリーズの最終回。約80人が受講した。
⇒お堀望む広場を福井城址南東に整備へ
萩原さんは「歩いて発見! 福井城の魅力と見どころ」と題して講演。福井城や北庄城は北国街道や美濃街道へ通じる交通の要衝で、越前朝倉氏の家臣や柴田勝家などが配された重要拠点だったと説明。結城秀康が大大名の城として築いた福井城は四重、五重の堀を巡らせた大城郭であり、「大火で天守は焼けてしまったが、石垣や堀などがここまで残っているのは全国でも有数」と強調した。
天守台が笏谷石で築かれ地域性を色濃く反映していることや、城の全貌を描いた絵図や明治初期の古写真などが多く残存していることも福井城の特徴であると紹介。「歴史をたどることができるのは大きな財産で、建造物の残存度が城の価値ではない。残ったものをたどりながらかつての様相を想像してみてほしい」と話した。
参加した60代の女性=福井市=は「よく見ている城だが、改めてその価値に気付かされた。今後の活用法についても考える機会になった」と話していた。
⇒街の中に城址がある福井市、個性どう生かす
セミナー後は、萩原さんと福井城を巡る城歩きもあった。