築50年超で安全面課題…重度障害者の施設を新築したい 福井の「げんきの家」が資金募る

重度・重複障害者の生活介護などを行っている「げんきの家」=福井県福井市高木中央2丁目

 重度・重複障害のある人の通所施設などを運営する福井県福井市の社会福祉法人げんきの家が、新施設建設の計画を進めている。現在の施設は手狭で、新規利用を断らざるを得ない状態。老朽化も進み、安全面の課題もあるという。吉田謙治理事長は「障害のある人や家族が安心して暮らせる拠点になれば」と話す。建設資金を広く募っている。

 げんきの家には現在、医療的ケアが必要な人を含む23~40歳の重度・重複障害者20人が通所し生活介護を受けているほか、就労継続支援10人、放課後デイサービス10人の計40人が利用している。

 重度・重複障害の利用者は週1~5日、午前9時から午後3時半まで施設で過ごす。春の花見や夏のプールなどさまざまな活動を取り入れている。言葉を発することができない利用者が多いが、吉田理事長は「楽しいときは目の輝きが違う」と話す。

 現在の施設は築50年を超え、生活介護を主に行っている約35畳の部屋は老朽化が進んでいるという。利用者が増えるたびに増築や修繕を重ねてきたが、最も多いときで、バギーを使う13人の利用者と職員で身動きがとれないこともある。職員は事故が起きないよう「常に細心の注意を払って仕事をしている」(吉田理事長)が、利用者の点滴の支柱が倒れた事例もあり、職員は「もっと安全に、利用者が過ごしやすいスペースがほしい」と訴える。

 新施設では、生活介護の部屋を約3倍に広げ、受け入れを10人増やす予定。ショートステイの部屋も増やし、入浴設備を新しく導入方針。

 福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」でも支援を募っており、目標金額は300万円。12月23日まで受け付けている。

 国が施設に入所する重度者の地域移行を進める中、吉田理事長は「利用者の保護者も高齢化が進んでいる。新施設を足がかりに、グループホームなど利用者の暮らしの拠点をつくっていきたい」と話している。

 【ミラカナ】福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でさまざまなプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして2018年に福井新聞社、福井銀行、レディーフォーが連携して始まった。21年からは福邦銀行も事業に参画した。累計支援額は1億6千万円、プロジェクトの達成率は93%(22年10月末時点)。

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