沿道笑顔 コロナに負けず活気再び うちわや拍手がランナー後押し

市役所筋でポンポンを手にランナーを励ます親子ら=13日午前9時11分

 雨の岡山路に1万1145人が臨んだ13日の「おかやまマラソン2022」。悪天候や新型コロナウイルス禍に負けじと沿道の市民やボランティアはできる限りの方法で大会を盛り上げ、選手たちも懸命な走りで応えた。

市役所筋

 「めざせ完走」と書かれたうちわを掲げていた会社員中村一二三さん(44)=福山市=は「大声を出せない分、遠くの人にも思いが届けば」。夫が出場した会社員川井由香さん(48)=倉敷市=は「雨は不慣れかも。体を冷やさないように」と気遣った。高梁市ゆかりのお笑いコンビ・東京ホテイソンの2人も周囲を沸かせながら走った。

折り返し地点

 知人の応援で初めて訪れた藤岡晶子さん(73)=倉敷市=は「観衆の中をカラフルな服装の選手が駆け抜けるさまは壮観」と驚いた様子。沿道整理ボランティアをした地元小PTA会長の清田一誠さん(44)=岡山市南区=は「地域が活気づくこの光景を待ち望んでいた」と笑顔を見せた。

岡南大橋東詰め

 高低差約17メートルという最大の難所・岡南大橋を渡った先ではラーメンの給食サービス。「雨で体温が上がらない中、温かいスープがしみる。走り切れそう」と会社員工藤隆聖さん(45)=千葉市。残りは10キロ。ランナーたちは気持ちを入れ直し、再び駆けだした。

旭川沿い

 それでも疲れがピークに達し、歩く姿が目立ち始める。給水ボランティアの操山高2年大月とわさん(17)は「息遣いから必死さが伝わる。何とか後押ししたい」。オランダ人男性ハンセン・ゲラルドさん(68)=岡山市北区=は「ランナーも応援の人もみんな笑顔。見ていて幸せ」と話した。

フィニッシュ

 シティライトスタジアム(同いずみ町)では五輪メダリスト有森裕子さん(55)=同市出身=がゴール前で選手を激励。家族や同僚らはスタンドからチアスティックや拍手で健闘をたたえた。体が冷えて両足がつり、リタイアも考えた主婦弓削絵梨さん(38)=高松市=は「応援に背中を押された」。会社員藤田泰範さん(45)=岡山市南区=は長男(5)の「パパかっこよかった」の一言にはにかみ「岡山の風物詩が戻ってくれて本当にうれしい」と感慨深げだった。

最大の難所の岡南大橋を渡り終え、気持ちを入れ直す選手たち=13日午後0時49分
笑顔で応援メッセージを掲げる沿道の子どもたち=13日午前11時49分、岡山市中区古京町

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