平成新山「安定した状態」 防災視察登山 九州大・清水名誉教授「大雨、地震に注意」

山頂で溶岩ドームの現状を説明する清水名誉教授(手前右)=平成新山

 雲仙・普賢岳の噴火で形成された溶岩ドーム「平成新山」(1483メートル)の現状を調べるため、九州大地震火山観測研究センターと長崎県島原市は14日、防災視察登山をした。同大の清水洋名誉教授(66)は「火山活動は静かで、安定した状態」との見解を示す一方、「小規模な水蒸気爆発の恐れはある。大雨や地震による崩壊には注意が必要」と呼びかけた。
 同センターの松島健教授(62)らが数カ所で噴気温度を計測。噴火活動中は約800度とされ、観測を始めた1995年は500~700度程度あったが、今回は山頂部付近で90.1度。10年ほど前に100度を下回って以降、90度台で推移しているという。
 視察登山は95年から毎年春と秋に実施。警察や消防、行政、報道関係者ら65人が雲仙市小浜町雲仙の仁田峠(約1100メートル)を発着し、警戒区域内に入り、不安定に折り重なった岩石を越えて山頂に登った。
 国土交通省長崎河川国道事務所の砂防課などによると、溶岩ドームは昨年12月現在、97年の計測開始から24年間で計約1.39メートル島原市側にずり下がった。警戒区域は、島原半島3市が溶岩ドーム東側を中心に計約950ヘクタールを設定している。
 90年11月、198年ぶりに噴煙を上げた普賢岳の噴火から17日で32年になる。


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