長崎で「核なき世界フォーラム」 被爆者、来年11月にも渡米 市民や政治家と対話へ

核兵器廃絶に向け被爆者や若者らが意見を交わしたフォーラム=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 ロシアのウクライナ侵攻で核使用の危機が高まる中、核兵器廃絶を目指す被爆者や専門家、大学生らが13日、長崎市内で開かれた「核なき世界フォーラム」で意見を交わした。被爆者の朝長万左男さん(79)は、米国など核に依存する国々への訪問団を結成し、現地市民に核廃絶を呼びかける活動を早ければ来年11月にも始める考えを示した。
 フォーラムは「核兵器禁止条約の会・長崎」など主催。同会共同代表の朝長さんは「核依存国の国民の総意が核廃絶に向かわないと、核抑止論は克服できない」と述べ、今後10年のうちに被爆者が核保有国などを行脚し、被爆の実相や核なき世界の実現を市民に直接訴えたり、活動を現地で報道してもらったりする構想を明かした。
 第1弾として、来冬に米ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約第2回締約国会議に合わせ、自身が会長を務める県被爆者手帳友の会を中心に渡米する予定。シカゴやポートランドで市民や政治家との対話を目指している。英国やフランスなどでの活動も検討する。
 長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授(核軍縮)は、どうすれば核兵器に頼らない安全保障が可能かを考える軍縮教育や意識啓発を、被爆地としてリードしていくことが必要だと強調。6月にオーストリアで開かれた同条約第1回締約国会議に参加した長崎市の大学生、山口雪乃さん(19)は「国際的な意思決定に関わる外交官と、市民社会で草の根運動をする若者が、同じフロアで話せたことに驚いた」と感想を語り、核廃絶運動をジェンダーや環境問題などの他分野とも連携させ「持続可能な若者の動きをつくりたい」と意気込んだ。


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