輸出ビジネスで売れる商品を見極める方法、ポイントとなる需給ギャップとは?

個人で輸出ビジネスを始める際に、販売する商品はどのように決めればよいのでしょうか?

そこで、副業支援スクールで講師を務める竹中重人 氏の著書『1日1時間で1億円! 米Amazon輸出ビジネス』(ぱる出版)より、一部を抜粋・編集して米Amazon輸出ビジネスで売れる商品の見つけ方について解説します。


売れる「宝物」はネット上に転がっている

米Amazon輸出ビジネスで重要な商品リサーチの方法について紹介します。このビジネスでは「リサーチが9割」と言っても過言ではありません。商品リサーチをしっかりと行うことで、商品が自動的に売れるようになるのです。そうすると、時間をかけずに売上が上がり、最終的には自由な時間とお金が手に入ります。

実は、リサーチはコツさえわかれば、それほど難しくはありません。非常にシンプルな理屈です。「アメリカで売れている日本製品を仕入れて売ればよい」のです。ちなみに、アメリカで“売っている商品”ではなく“売れている商品”です。すでにアメリカで実績のある日本製品を米Amazonで販売します。売れた商品を売るわけですから、売れるのが当然と言えるかもしれません。

鋭い方は、「競合品が多いと売れないのでは?」と思うかもしれません。たしかに競合店が多いと売れにくくはなります。ただ、輸出には相応のハードルがあるため、競合は多くありません。

さらに、米Amazonに出品されている日本製品は既に数万点あります。あまりにも種類が豊富にあるため、完全に同じ商品になる確率は低い。そして、毎年3万点の日本製品が米Amazonに出品され、新たに増えています。1年で3万点です! これは本当にすごい数だと思いませんか? この毎年新しく出品される3万点の商品は全て「アメリカで売れている日本製品」です。この中から自分のショップのラインナップを作っていくのです。まだまだ需要に対して供給が追いついていないのです。

では、どんな日本製品がアメリカで売れるのでしょうか?

ここでは、イメージできるように、具体的ないくつかの商品を紹介しましょう。

まず、日本のフィギュアやおもちゃは以前から人気の売れ筋商品です。さらに、日本の電化製品も人気があります。メイドインジャパンは高品質で故障しないというブランド力は浸透していると言えるでしょう。

あと、意外なところでは、工具も売れています。そして、やはり日本のマンガは人気があります。例えば、『鬼滅の刃』や『ジョジョの奇妙な冒険』はとても人気。もちろん、日本語で書かれていますが、なぜか良く売れています。正直、私も売れている本当の理由はわかりません。日系人や日本語を勉強したいアメリカ人もいるとは思いますが、単に日本語が好きな人もいるかもしれません。世界の人たちは、日本と日本語に対する強い関心があるとは言えるでしょう。

そして、何より面白いのは、“売っていく”という非常にハードルの高いマーケティング要素が不要なのです。“売れている理由”がわからないとマーケティングは成立しませんが、私の手法では“売れている”ことさえわかれば良いのです。これが再現性を圧倒的に高くしている要因の1つです。

2021年の東京オリンピック開催も、日本の人気を後押ししています。これも米Amazon輸出ビジネスには追い風でプラス材料です。売れるお宝商品をリサーチで見つけて、売れ筋のラインナップを作っていきましょう。

商品をネットリサーチする前の3つの心構え

それでは、実際にリサーチする前に意識しておきたい3つの心構えを紹介します。

【1】先入観と思い込みで判断しない
【2】リサーチ環境を整える
【3】趣味・嗜好は捨てる

これだけではわからないと思いますので、それぞれを具体的に説明していきます。

まず1つ目の心構えは、先入観で判断しないということです。例えば、「鬼滅の刃だからどんな商品でも売れるだろう」「このジャンルは人気がないはず」など、自分の勝手な思い込みだけで商品を選ぶと危険です。優秀なマーケッターが失敗してしまう理由は先入観が邪魔をしている場合が多いのです。逆に、素人の方が上手くいくケースも多くあります。アメリカで売れた実績のある商品だけをリサーチして選んでいるからです。

2つ目は、リサーチするための環境を作ることです。まず、スマホだけでは商品リサーチは無理なので、PCを用意してもらう必要があります。スペックは最新のものでなくても大丈夫ですので、中古でも1台は購入してください。

そして、PCにGoogleクローム(Google Chrome)をインストールしておきます。Googleクロームとは、Googleが提供する無料で使えるウェブブラウザです。iPhoneのSafariやマイクロソフトのMicrosoft Edgeも同じブラウザですが、Googleクロームが一番人気で、お勧めです。簡単に言うと、検索機能だけでなく、後から色々な機能を追加できる拡張機能が人気の理由です。

この拡張機能で「Keepa」(キーパ) というツールを追加してください。Keepaは、Amazon内で販売されているほとんどの商品の売れている数量と販売価格を確認できるツールです。日本Amazonと米Amazonの両方のデータを見比べることで、日本とアメリカの需要と供給のバランスがわかります。リサーチ方法は後で詳しく説明しますが、Chromeウェブストアというサイトに行き、Keepa.comを追加するだけでGoogleクロムに追加することができます。

心構えの3つ目は、自分の趣味や嗜好は捨てる、ということです。自分の好きな商品を仕入れて販売すると、ほとんどが失敗します。理由は、米Amazonで売れていない商品を仕入れることになるからです。まずは、ビジネスと割り切って、自分の好き嫌いとは関係なく、米Amazonで売れている商品だけを販売しましょう。まずは、しっかりと稼ぐことが大切です。どうしても趣味の商品を売りたいなら、十分に利益が取れるようになってからでも遅くはありません。

ここで、本当に意外な商品が売れたという実例をご紹介します。例えば、プラモデルの塗料が爆発的に売れたケース。日本のプラモデルが好きな外国人マニアのニーズに応えたのでしょう。他には、マンガの全巻セットが売れたケース。やはり全巻揃えたいという気持ちは、日本人だけではないようです。

そして、私が予想外だったのが、トイレットペーパー。お線香の香りがついた商品で、数十個仕入れても1カ月くらいで売り切れたのです。トイレットペーパーは、先入観があったら、絶対に売らない商品です。この成功例は先入観のないリサーチの大切さを教えてくれます。このように、意外なお宝商品に出会えるのが米Amazon輸出ビジネスの面白いところでしょう。

出品する商品をリサーチしよう

ここからは、商品リサーチの流れを一緒に確認していきましょう。

まず、米Amazonのサイトで売れている日本製品を見つける必要があります。このとき、意外な落とし穴があるので気をつけてください。実は、私たち日本人が普通に米Amazonのサイトで商品検索しても、日本に発送できる商品しか表示されません。ここで、ちょっとしたテクニックをご紹介します。

ウラ技というと少し大げさですが、とてもシンプルな方法です。商品の購入画面で、アメリカの郵便番号(ZIP CODE)を入力するだけ。アメリカの郵便番号は、5ケタの数字です。

例えばサンフランシスコは「94111」、シアトルは「98101」。どの地域の郵便番号でもいいのですが、この数字を入力すると、アメリカ国民だと認識されるようです。これでようやく、すべての商品の検索ができるようになります。

そして、日本からの輸入品という意味の「Japan Import」というキーワードを入力して検索します。そうすると、日本製品のラインナップがずらりと表示されます。その中から、Amazonランキングで上位の売れ筋商品を見ていきます。

度々紹介していますが、この時にものすごく使えるのが「Keepa」(キーパ)というツールです。導入コストは月額19ユーロ(約2500円)がかかりますが、十分に元が取れる優れもの。まず、KeepaをGoogleクロームに入れると、米Amazonの商品ページにグラフで表示されるようになります。そのグラフを読み解くと、なんと、商品が「何ドルで売れたか」や「いつ売れたか」が分かるのです!

つまり、売れている商品が一目で分かりますし、どのくらいの値段で売れているのかも分かるのです。Keepaというツルハシで、売れ筋商品という金鉱山を発掘するイメージです。Keepaを使うとわかるのですが、小学生でも使えるくらい簡単です。詳しい使い方は後で説明します。

売れている商品を見つけたら、次は利益の計算をします。利益を高く得るためには、仕入れ価格と販売価格の差額を大きくする必要があります。つまり、日本Amazonと米Amazonの販売価格の差です。おおまかな目安としては、米Amazonの販売価格が日本Amazonの販売価格の2倍なら、十分利益が取れると考えていいでしょう。ジャンルにこだわらず、価格差だけを見てリサーチすることがポイントです。

最後に、米Amazonにおけるラインナップについての考え方を示します。あまりに安すぎる商品ばかりだと1個あたりの利益が少なく、多くの個数を売る必要があるため、非常に大変です。逆に、1個数十万円の時計を売ると、在庫リスクが高くなってしまいます。

よって、作業量と在庫リスクのバランスを考えると、ラインナップする商品価格は3000円から1万円が最適です。高くてもせいぜい5万円が上限でしょう。売れ筋の商品の中から、サイズが小さくて高価な商品を見つけることができたらベストです。

以上、商品リサーチの方法を説明しましたが、いかがだったでしょうか? 思ったより簡単に感じた方が多いでしょう。「何としても見つけてやる!」と肩に力を入れるよりも、ゲーム感覚で楽しみながらリサーチするのがコツです。

需給ギャップデータで米Amazonで売れる商品はわかる

これまで、利益を多く得るには、「日米での販売価格の差が大きい商品を選ぶことが大切である」とお伝えしてきました。販売価格が安いということは、需要が少ないか供給が多いことを意味します。同じ商品なのに日本よりも米Amazonの販売価格が高いということは、アメリカでの需要が日本よりも大きいことが言えるでしょう。つまり、日米の販売価格の差が大きい場合、日本では価値が比較的低い商品でも、アメリカや世界では価値が高いと考えられている商品だということになります。

この2国間の需要と供給の差は「需給ギャップ」と呼ばれています。

米Amazon輸出ビジネスでは、この需給ギャップの大きい商品を選ぶことが大切です。需給ギャップを簡単に調べることができるツールが先ほども紹介したKeepaです。ここで、Keepaの具体的な使い方を説明しておきましょう。

まず、GoogleクロームでKeepaのサイトを表示させます。そこで、「デスクトップに追加」というボタンをクリックします。その後、登録を済ませ、「デスクトップに追加済み」という表示に変わったら設定完了です。

そして、Amazonのサイトで商品を見ると、グラフが表示されるようになります。このグラフの中に緑色の波線が見えると思いますが、特にこの緑色の波形が重要です。この波形から、その商品の販売個数が1年単位や数年単位の変動でわかります。

さらに、何人のセラーがこの商品を販売しているかもわかります。最近セラーの数が増えていたら人気が上がっている商品、数年前からセラーが多い商品は安定的に売れている商品といったように、様々な有力情報が入手できるのです。季節性のある商品なら、「夏に良く売れる」といったこともわかります。

この需給ギャップデータをしっかり調査することで、売れる商品なのかがわかってきます。私はいつも生徒さんには「データはいつも正しい。データは嘘をつかない」と伝えています。最も重要なことは、データには再現性があること。つまり、いつどこで誰がリサーチしても、売れる商品を何度でも見つけることができます。

一方、何となく「売れそうな気がする」と選んだ場合、再現性がありません。仮に運よく売れたとしても、次の商品は売れるとは限らないでしょう。そして、商品が売れなくなった原因が不明のまま終わります。当然、この再現性がないと、一時的に稼げても、安定的に稼ぐのが難しくなるのです。

この需給ギャップをしっかりとデータ分析することで、売れる商品を見つけることができます。そして、Keepaをフル活用することで継続的に売れる商品を見つけて、売上を積み上げることができるのです。このデータを活用した商品リサーチが、安定的に稼げるビジネスになる大きな理由です。

米輸出ビジネスは、需給ギャップが勝敗を分けると言ってもいいでしょう。最初に、データを活用してシビアにリサーチしておけば、ほとんどの商品でしっかりと利益が出せるのです。ID野球の監督のように、データ分析で判断する。しっかりと勝利を積み重ねたその先には、リーグ優勝のビールかけが待っていることでしょう。

著者:竹中重人

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