チームWRT、BMWへのスイッチ初年度から“大所帯”に。総勢7〜8台のM4 GT3を導入へ

 チーム代表のヴァンサン・ボッセは、チームWRTが2023年、7~8台のBMW M4 GT3でレースプログラムに取り組む予定であることを明らかにした。

 2022年シーズンをもって13年に及んだアウディとの関係を終了させたWRTは、2024年にBMW Mハイブリッド V8でWEC世界耐久選手権に参戦するが、GT3レースでは2023シーズンからBMWとのプログラムを開始する。彼らはその初年度から、大規模なフリートを編成する構えだ。

 WRTは、2019年のIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ鈴鹿10時間レースを制したモデルこそ手元に残しているものの、6台のアウディR8 LMS GT3のうち5台を売却し、ベルギーにあるヘッドクォーター内のスペースを確保している。

 チームは来季BMW M4 GT3で戦うカテゴリーを発表していないが、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSには、継続参戦することが濃厚だ。

 WRTはここ数週間、バルセロナ、マニクール、バレンシア、そして先週訪れたポール・リカールを含む、いくつかのサーキットで精力的にM4 GT3をテストしている。

「集中的にテストを行ってきた」と、ボッセは語った。

「かなりうまくいっている。環境もクルマもまったく違うけど、とてもよく考えられているし、印象的だ。このクルマにはとても感心している」

「結局のところ、我々はクルマを開発するとか、何かを作るとかいう話をしているのではない。ゼロから始めることはなく、マシンはメーカーがあるレベルまで作り上げたものだ」

スペイン・バルセロナでテストを行う、BMW Mチーム WRTのBMW M4 GT3

 来年、チームは何台のBMWを保有することになるのかという質問に対して、ボッセは「7台から8台」と答え、レースプログラムをカバーするために「その数が必要になる」と付け加えた。

 また、先月バルセロナで周回を重ねた2台のM4 GT3に加え、3台目のM4 GT3が納車されたことも明らかにした。

「まだ、一生懸命やっているところだ」とGT3プログラムについてボッセは述べる。

「インターコンチネンタル(GTチャレンジ)のレースで見ることができるかもしれないし、ドバイ(24時間)で見ることができるかもしれない」

「ドバイはすべてを見定めるのにはいいレースだ。そしてその後は、あなたが予期している場所で、我々を見ることになるだろう」

 WRTのBMW M4 GT3のペアは現在、2023年1月に開催されるハンコック・ドバイ24時間レースの暫定エントリーリストに記載されている。

 WRTは2月に開催されるリキモリ・バサースト12時間への参戦も視野に入れており、昨年アウディとともに参戦したロード・トゥ・ルマンへの復帰も検討されているというが、確定はされていない。

 2018年にWRTが優勝したバサーストについて、「我々は過去にあのレースを含め、アウディと多くの成果を残してきた」とボッセは言う。

「これが血統であり、今はまたゼロからのスタートだ。素早くキャッチアップしなければならない」

 WRTは当初、12月のIGTC最終戦ガルフ12時間レースに暫定エントリーしていたが、BMWのプライベートテストに集中するため、辞退している。

「2022年と2023年の間に、すなわちアウディとBMWの間に、ブレイクを設ける必要があったのだ」と、ボッセは説明している。

「さまざまなことのための区切りだ。2022年にはBMWのレースはしないし、(バルセロナでのGTWCヨーロッパ最終戦の)後は、アウディでのレースもしないことが決まっていた」

「モータースポーツ・ゲームズやアブダビのような異なる種類のレースもあったが……ある段階で区切りをつける必要があり、それは良いアイデアだった」

「アウディについては、売ったり、送ったりした。我々は新たなストックを築き始めるわけだが、これは大変な仕事だ。そのためには、少し時間が必要なのだ」

「急ぐのは、良いことではない。だから、これは完璧なシナリオだったと言えるだろう」

バルセロナでテストを行うBMW Mチーム WRTのBMW M4 GT3

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