MVPを逃した最高のシーズン 2004年のイチロー、今季の大谷も選出

日本時間11月19日、メジャーリーグ公式サイトのマット・ケリー記者は「MVPを逃した最高のシーズン」を紹介する特集記事を公開した。MVPは毎年各リーグから1名しか選ばれないため、どんなに活躍したとしても、同一リーグにそれ以上の成績を残した選手がいた場合、受賞できない(1979年ナショナル・リーグは2選手が同率1位で受賞)。ケリー記者は、これまでのMVP投票を振り返り、素晴らしい活躍を見せながらもMVPを逃した選手たちを紹介している。

現時点でメジャー史上最後の4割打者となっている1941年のテッド・ウィリアムス(レッドソックス)は、打率のほかにも本塁打、得点、四球、出塁率、長打率、OPSの各部門でメジャートップの数字を残した。しかし、MVP投票では56試合連続安打のジョー・ディマジオ(ヤンキース)に敗れた。

1998年にサミー・ソーサ(カブス)との熾烈な本塁打王争いを繰り広げ、当時のメジャー新記録となる70本塁打をマークしたマーク・マグワイア(カージナルス)もMVPを受賞できなかった。MVPに選ばれたのはソーサ。より多くの打点を稼いだことやチームをポストシーズン進出に導いたことが評価されたと言われている。

2004年にメジャー新記録となる262安打を放ったイチロー(マリナーズ)も選ばれている。ケリー記者は「スズキはジョージ・シスラーによる84年前の記録を破り、守備面でもキャリア最高の働きを見せ、19度の敬遠はリーグトップだった。ところが、イチローのオールラウンドな活躍は投票者に評価されず、ブラディミール・ゲレーロに敗れた。スズキのWARはゲレーロを4近く上回っていた」とコメント。当時はまだWARという指標がなく、WAR全盛の現代であればイチローがMVPに選ばれていたかもしれない。

そして、当然のように今季の大谷翔平(エンゼルス)も選ばれている。ケリー記者は「前年のMVPに輝いたオオタニは、キャリア最高の防御率を記録しただけでなく、史上初の30本塁打&10勝を達成してベーブ・ルースを超えた。残念ながらアーロン・ジャッジがアメリカン・リーグのシーズン本塁打記録を更新するなど驚異的な打撃成績を収めたシーズンと重なってしまい、ジャッジがMVPに選ばれた」とコメント。ただし、記事中では規定打席と規定投球回のダブル到達には触れられていない。

© MLB Advanced Media, LP.