インターネットに情報はない?不動産投資で優良物件を見つける方法とは

一棟か区分か、中古か新築か−−不動産には様々な種類があります。投資を検討する上で、それぞれをどのように考えればよいのでしょうか?

そこで、国内最大規模の不動産コミュニティを運営する木村拓也 氏の著書『人生を逆転させる、サラリーマンの【不動産投資FIRE】』(ぱる出版)より、一部を抜粋・編集して不動産の種類について解説します。


不動産の種類を知ろう

「一棟」と「区分」

不動産といっても世の中には様々なものがありますが、本書では基本的にはアパートやマンションなどの賃貸物件を使って家賃収入を得る投資について解説します。

この賃貸物件についても、さらに様々な種類があり、それぞれ投資をする上での特徴が異なってくるのでここで簡単に説明しておきましょう。

まず最初の切り口は「一棟」か「区分」かです。一棟というのは読んで字の如く、1つのアパートやマンションをまるごと購入、つまり全室を所有することです。

一方、区分というのはそのマンションやアパートのうち一室だけを所有することを言います。当然一棟の方が購入金額は高額となりますが、その分収入も大きくなります。

また区分所有の場合は、部屋のリノベーションをする場合などは管理組合への承認が必要になることがありますが、一棟で所有している場合は基本的には自由にできます。

中古か新築か

もう1つ重要な切り口が中古か新築か、というものです。当然ですが新築の方が購入金額は高くなります。さらに、その物件を売却する場合は、新築だった物件も中古として扱われるわけですから、資産価値の低下が大きいと言えます。

一方で中古の場合は修繕費用などのコストがかかる頻度が新築物件よりも増えますし、物件そのものの資産価値が高い分新築の方が融資が受けやすい場合もあるなど、やはり一長一短です。

おすすめは低リスクな選択

その他にも物件の特徴となる要素は様々なものがあります。例えばその建物の材質も、鉄筋コンクリート(RC)や木造などがあり、それぞれ購入金額や家賃に影響します。

こういった特徴を列挙していくこともできますが、不動産投資に興味をもったばかりの皆さんにそんな説明をしてもあまり意味はないでしょう。重要なのはこれらの特徴は全て一長一短あり、それを把握した上で投資先を決めるべきであるということです。

一長一短とは書きましたが、 キムラ式不動産投資では基本的には「低リスク」な選択を推奨しています。

低リスクな選択というのは、多少利回りが悪かったとしても購入金額が比較的小さかったり、空室リスクが低い物件を選ぶということです。

例えば一棟ものと区分であれば、当然区分の方が小さな投資金額で不動産投資をはじめることができるため最初は区分をおすすめします。私もはじめは区分からスタートしました。

もちろん、その分リターンは小さくなりますが、まずは不動産投資の流れを掴み、「確実に毎月入金される」という安心感を味わうべきだと考えます。

同じように新築と中古であれば、中古の方が購入金額が安く、また売却する場合の資産価値の減少幅も小さいため低スクと言えます。

「良い悪いではなく初心者向けか上級者向けか」この考え方は、立地や間取りについても同じです。例えば東京都内で比較的築浅(築20年以内)の一人暮らし向けの物件ならば、購入金額も比較的小さく、そういった物件を探す需要が常に大きいため空室リスクも抑えることができます。

繰り返しますが、リスクとリターンは比例するものですから、すでに十分な資産があり最初から大きなリターンを得たい人には一棟ものを勧めることもあります。決して一棟ものや新築を買うのが絶対にダメだと言っているわけではありません。というよりも、「これは絶対ダメ」「これならば絶対にうまくいく」といった解像度でしか物事を考えられない人は投資をしてもうまくいかないでしょう。

ここで言いたいのは、リスクとリターンが比例する以上 「ハイリターンを狙える物件というのは上級者向けの選択である」 ということです。

仮に上級者であればおすすめできる物件であったとしても「最初はまずは低リスクの物件で硬く行った方が良いですね」となるケースもあるわけです。そうして着実に安定した物件を買い、不動産投資に慣れてきたら徐々に利回りの良い物件も含めて物件を増やしていくことで、10年後には大きな資産を築いている、というのを目指すのがキムラ式不動産投資法の基本的な考え方となります。

インターネットに良い物件情報はない

成功者がいるかどうか

物件に関するおおまかな考え方は伝わったと思います。もちろん細かなポイントをあげていけばキリがありませんが、まずはこういった大枠の考え方を理解するのが重要です。
というのも、物件探しは全て自分でするわけではありません。全国には数えきれないほどの不動産物件があるわけで、その全て自分が1つひとつ探して条件を比較することなどできないのです。

ではどうやって投資する物件を決めるかというと、基本的には不動産業者が探してきたものを紹介してもらう形となります。もちろんその中から自分の戦略に合わせて物件を選択するため、何から何まで任せきりというわけではありませんが、今の段階で細かな知識をああだこうだと学ぶよりも、信頼できる業者を見つけることの方が大事だったりします。

不動産業者もビジネスですから、1つでも多くの不動産を売ろうと考えています。当然、中には初心者が投資するのには向かないものもあります。ではどうすれば信頼できる業者を見つけることができるのでしょうか。

もっともわかりやすいのは 「その業者を通して不動産を買って成功している人がいるかどうか」 を確認することです。良い業者というのは、空室リスクと利回り(リターン)のバランスのとれた物件をたくさん知っていて、それをあなたの資金力や戦略に合わせて紹介してくれる業者です。逆に悪い業者は、そもそも良い物件をあまり手元に持っていなかったりします。

ですから、もし本当に良い業者であれば、あなた以外にもその業者から不動産を買って成功している人がいるはずなのです。

例えば知人に不動産投資をして成功している人がいるなら、その人に業者を紹介してもらうのが良いでしょう。もちろん、成功している人が一人ではなく複数いるならそれだけ信用できます。会社によっては、その会社の中で何人もが同じ業者から不動産を購入しているようなケースもあります。その人たちがみんな成功しているのであれば、まずはその業者に話を聞いてみるのも良いかもしれません。

インターネットの情報を信じてはいけない

逆に、良くない業者や物件に出会ってしまう可能性が高いのがインターネットなどを通じて自分一人で探してしまうケースです。

これは理屈で考えるとわかるのですが、ほとんどの業者のもとには「空室リスクの低い良い物件」もあれば「投資にはあまり向かなさそうな悪い物件」もあります。そして、それらの業者はみんな「お得意様」を抱えています。

例えば先程の例でいうと、同じ会社に多くの顧客を抱えている場合、その会社の誰かにあまりよくない物件を紹介してしまうと、会社の中で「あの業者の物件を買ったけど全然利益も出てないし、おすすめできないな」という話が共有されてしまって、自分のところから買ってくれなくなってしまいます。

業者としては「あそこの業者から買っておけば間違いないよ」という噂がながれて毎年新しい顧客が生まれるように、そういったコミュニティができてる顧客に対しては優先的に良い物件を紹介しようと考えるのが普通です。

さらに言えば、 良い物件の情報が入ったら不動産業者はまず「この良い物件をどのお得意様に紹介しようかな」と考えます。 したがってインターネットの広告などに掲載されるのは、そういったお得意様には紹介しなかったあまりものになるのです。業者からすればそれは主力商品ではなく「運良く問い合わせがくればラッキー」といった具合です。決してあなたを騙そうとしているとかそういうことではなく、理屈としてインターネットに良い物件が流れてくる業界構造になっていないのです。

コミュニティを見つける

今現在、身の回りに不動産で成功している人がいない場合はどうすれば良いでしょうか。 やはり理想は、自分で動いていくことでそういった仲間を見つけることです。 今の時代インターネットを使えば様々なコミュニティを見つけることができます。

不動産投資に興味を持って「よし! 勉強をするぞ!」とモチベーションを高めたとき、多くの人はネットで情報を集めたり本を買ったりします。この本だってそういう書籍の1つなわけですし、それが悪いこととは言いません。しかし、本に書ききれない情報があるのも正直なところなのです。

ただ情報を集めるだけでなく、その「勉強」「努力」の一環として、不動産投資仲間を見つけることにも取り組んでみてください。

ただ教えてもらうだけでなく、不安やわからないことを共有するだけでも楽になります。もしあなたの不動産投資が軌道に乗ったときにはその経験をまた別の人に伝えてあげてください。

不動産は情報の歪みを利用するもの

せっかく本を買って読んでいるのに大事なのは業者やコミュニティといった「コネ」じゃないか、とがっかりした人もいるかもしれません。

しかし、綺麗事ではなくしっかりと真実を伝えるのもこういった情報媒体の役目であるとするならば、やはりこれについては明言する必要があると考えたのです。

そもそも、不動産投資が株式や外貨への投資と違うところの1つが「情報の歪みがある」ということです。

例えば株式投資であれば、その会社の経営状態や債務状況はすべて公開されています。投資家はみんな(調べようと思えば)同じ情報を手にした状態、対等な位置からスタートするものです。

一方で不動産はどうでしょうか。 ネットに出回らない物件情報がいくらでもある以上、そこには明確な「情報格差」が存在します。 他の誰かが、自分の知らないうちに"自分の知らない物件を購入して得をしているのです。

株式取引であればそんなことは起こりません。もし自分だけが「この会社はとても期待できる新規事業を来月発表する予定である」という情報を持っていたらそれはインサイダー取引となってしまいます。ある意味では、情報によって他者を出し抜くことが法律によって禁じられているわけです。

しかし、それ故に株式投資において個別の銘柄が上昇するか下落するかを当てるのはプロでも難しいとされており、多くの投資家がインデックスという市場全体の動きに対して投資をしています。不動産投資とは考え方が真逆と言えるかもしれません。

「なんだよ結局コネかよ」と思う気持ちもわかりますが、そもそもの特性として 情報の歪みが存在するものである以上は、その情報を掴む努力をするのが正攻法と言える のではないでしょうか。そして不動産において有力な情報を得る手段はインターネットではなく、成功している人とつながること、という極めてロジカルな話なのです。

著者:木村 拓也
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