殿堂入り投票の注目ポイント 名三塁手・ローレンは殿堂入りなるか

日本時間11月22日に2023年度アメリカ野球殿堂入り投票の候補者28人が発表された。それを受けてメジャーリーグ公式サイトのデービッド・アドラー記者は、今回の殿堂入り投票における7つの注目ポイントを紹介。デービッド・オルティスが当選した2022年度の殿堂入り投票は、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、サミー・ソーサといった「ステロイド疑惑のある大物選手」が有資格最終年を迎えるということで大きな注目を集めたが、今回の殿堂入り投票はどのような点が注目されているのだろうか。

今回の殿堂入り投票における初登場組14人のうち、最も殿堂入りに近い位置にいると目されているのがカルロス・ベルトランだ。20年のキャリアで通算2725安打、435本塁打、1587打点、312盗塁を記録し、オールスター・ゲーム選出9回、ゴールドグラブ賞3回、シルバースラッガー賞2回など輝かしい実績を残した。「ベースボール・リファレンス」が算出する総合指標WARでは通算70.1を記録しており、中堅手としては歴代8位の数字。上位7人のうち、現役のマイク・トラウト(エンゼルス)を除く6人全員が殿堂入りしている。アストロズ時代のサイン盗み問題の影響が懸念されるが、初めての殿堂入り投票でどのような評価を受けるだろうか。

初登場組でもう1人の注目株がフランシスコ・ロドリゲスだ。通算437セーブはマリアーノ・リベラ、トレバー・ホフマン、リー・スミスの殿堂入り3人に次ぐ歴代4位の数字。また、2007年エンゼルス時代にはシーズン62セーブのメジャー記録も作っている。救援投手が殿堂入りするハードルはかなり高いが、ロドリゲスは今回の初登場組のなかで「殿堂入りする可能性が2番目に高い選手」と言われている。

前回から引き続き候補者となった14人のなかでは、ゴールドグラブ賞8回の名三塁手スコット・ローレンの得票率に注目だ。得票率は初登場した2018年の10.2%から17.2%、35.3%、52.9%、63.2%と年々着実にアップ。今回殿堂入りするためには前回から約12%のアップが必要だが、「もし今回殿堂入りできなくても、ローレンの殿堂入りは時間の問題だ」と言われ始めている。

ボンズ、クレメンス、カート・シリングの名前が投票用紙から消えたことがどのような影響を及ぼすか、という点にも注目が集まっている。近年の殿堂入り投票は、彼らが60%前後の得票率を記録していた。彼らに投票枠を費やしていた記者たちが他の候補者たちへ投票するようになれば、ローレン、トッド・ヘルトン、ビリー・ワグナー、アンドリュー・ジョーンズといった候補者たちの得票率が大きく伸びる可能性がある。「ボンズ票」や「クレメンス票」がどこに流れるか次第で各候補者の得票率には大きな変動があるはずだ(注:各記者は最大10人までしか投票できないという制限がある)。

前回の殿堂入り投票では、得票率63.2%のローレンのほかにヘルトン(52.0%)とワグナー(51.0%)が過半数の記者から票を獲得。ヘルトンはロッキーズ時代の同僚であるラリー・ウォーカーがクアーズ・フィールドの恩恵を指摘されながらも最終的に殿堂入りを果たしたことが追い風になるとみられる。ワグナーは通算422セーブという数字自体はロドリゲスを下回っているものの、防御率など「投球の質」の面でロドリゲスよりはるかに格上。8回目の挑戦となる今回、どこまで得票率を伸ばすことができるだろうか。

通算成績だけを見れば、候補者28人のなかで最大のビッグネームはアレックス・ロドリゲスだ。歴代5位の696本塁打を放ち、MVPを3回受賞。しかし、薬物規定違反によって出場処分を受けた経歴が影響し、初登場した前回は得票率34.3%に終わった。ボンズやクレメンスが殿堂入りできなかったことを考えると、ロドリゲスの殿堂入りも極めて難しいと思われるが、どのような結果になるか注目される。

最後に、ベルトランとロドリゲスのほかに今回から初登場のメンバーは以下のような顔ぶれとなっている。

野手
ジャコビー・エルズベリー
アンドレ・イーシアー
J・J・ハーディ
マイク・ナポリ
ジョニー・ペラルタ
ジェイソン・ワース

投手
ブロンソン・アローヨ
マット・ケイン
R・A・ディッキー
ジョン・ラッキー
ヒューストン・ストリート
ジェレッド・ウィーバー

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