倉敷市の実業家大原孫三郎(1880~1943年)が購入したピアノが、クラウドファンディング(CF)で修復された。12月6日から美観地区の国重要文化財・旧大原家住宅(語らい座大原本邸、同市中央)で一般公開される。
世界三大ピアノの一つ、ドイツ・ベヒシュタイン社が1928年に作ったアップライトピアノ。購入時期ははっきりしないものの、長男の実業家總一郎が「心に深く染み入る音」と気に入るなど一家で愛したと伝わる。
老朽化とともに眠ったままになっていたが、孫三郎のやしゃごに当たる碩人(ひろと)さん(23)=一橋大4年=らが活用に向けて修理を計画。山陽新聞社などのCFサービス「晴れ!フレ!岡山」で1~3月に費用を募り、目標(200万円)を超える258万4千円の支援を得た。
東京都内の工房では、歴史的な風合いを感じさせる外観はそのままに、象牙を用いた鍵盤の反りを直したり、譜面台付近のフェルトを当時の緑色に貼り替えたりと約9カ月がかりで再生させた。
今後は定期的にコンサートを企画していく考えで、碩人さんは「地元の人や観光客が気軽に音楽を楽しむ場になれば」と話している。一般公開に先立ち、26日と12月4日にはCF協力者を招いたコンサートを開く。