県総合文化センター狂言シリーズ第26弾「狂言 万作の会」(とちぎ未来づくり財団主催、下野新聞社共催)が25日、同センターメインホール特設能舞台で開かれた。観客約800人が、人間国宝・野村万作(のむらまんさく)、息子の萬斎(まんさい)、孫の裕基(ゆうき)の親子3代の共演に見入った。
公演に先立ち、披露する作品のストーリーや見どころなどを軽妙に解説。その後、小舞「名取川」が披露された。萬斎が、偽りの腕自慢を意味する「空腕」を演じ、いるはずのない追い剥ぎにおびえたり、見えない敵を倒し大げさな武勇伝を話したりする太郎冠者(たろうかじゃ)を独演。観客を圧倒した。
「舟渡聟(ふなわたしむこ)」では、初めて妻の実家に向かうため舟に乗った聟を裕基、その船頭で舅(しゅうと)を万作が演じた。聟と知らず強引に酒を無心するなど、舟の上で繰り広げられる2人掛け合いに、会場は笑いに包まれた。
前回を除き、第4弾から観に来ているという宇都宮市平松本町、佐藤美子(さとうよしこ)さん(77)は「裕基君が大きくなり声が出ていて、すてきだった。次回も楽しみにしている」と声を弾ませた。