ヴェルスパ大分 シーズン総括 国体制すもリーグ戦は後半で失速 【大分県】

ヴェルスパ大分は今季最終戦で、クリアソン新宿に1-1で引き分け、リーグ戦は12勝7分11敗、8位でシーズンを終えた。目標のJ3昇格には届かなかったが、栃木国体では単独チームで出場して優勝するなど収穫もあった。

山橋貴史監督が指揮して3年目の今季は、昨年からメンバーが大きく変わることなく、細部まで戦術を浸透させるはずだったがかみ合わなかった。特に前半戦は下位チームとの試合で取りこぼしが目立ち、勝ち点を積み上げることができなかったことで勢いに乗れなかった。それでもコンディションを最優先し、メンバーを固定せずに戦ったことで選手層が厚くなったのは確かだ。夏場の連戦を乗り切り、栃木国体での優勝につなげたが、振り返ればそこが今季のピークだった。10月以降は連敗が重なり、ヴィアティン三重に0-7で大敗するなど、目を覆いたくなるような失速ぶりだった。

今季14得点で得点ランキング2位タイとなった前田央樹

ボールを保持して攻撃する大分に対し、自陣で守備を固めるチームが多かったのも苦戦した要因の一つ。昨季と比べ総得点はほとんど変わらないが、リーグ最小失点を誇った守備は24から44と失点数が増えた。相手の守備をこじ開けようと攻撃が前がかりになった隙を突かれ、失点するケースが多かった。山橋監督は「相手の守備組織を崩すことに手を焼き、カウンターに対するリスク管理が甘かった」と振り返る。

来季に向けて課題は明確になった。守備の再構築を図り、攻撃の選択肢を増やすこと。戦況に応じてシステムを変更するなど、「選手交代の意図と戦術変更を明確にして攻撃の引き出しを増やしたい」と山橋監督。キャプテンの篠原宏仁も同じ考えだ。「守る相手に対しての打開策として、長いボールを放り込むなど自分たちのスタイルにこだわる必要はない。対戦相手によって柔軟に対応する必要がある」。

今後の編成は不透明だが、それでも依然として戦力は豊富。昇格の行方は来季の続投が決まった山橋監督のマネジメント能力に懸かっている。

主力として活躍した渡辺柊斗

(柚野真也)

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