グッドルーザー バスケットボール男子 2人の3年生がチームを引っ張った大分上野丘 【大分県】

「今まで支えてくれた人たちのために、今できる最高のプレーをしたい」と並々ならぬ思いでコートに立った。大分上野丘の一宮裕貴(3年)は、3月に負った右膝前十字靭(じん)帯断裂から長いリハビリ生活を乗り越え、今年初めての公式戦であり、高校生活最後の公式戦となる全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)県予選に臨んだ。準々決勝・日田戦の第1クオーター(Q)に連続3点シュートを含む10得点でチームを勢いづけた。

入学当初から先発メンバーに名を連ねた一宮は、その年の6月の県高校総体で準優勝を経験し、その後も県内4強の一角として結果を残し、大分上野丘の一時代を築いた。最終学年となりキャプテンに任命され、「悲願の優勝」を見据えた矢先に大きなけがで離脱。3月の県高校新人大会、6月の県高校総体はベンチから仲間を応援することしかできなかった。県高校総体が終わり3年生のほとんどが引退したが、一宮は「やり残したことがある」とリハビリを続けた。ウインターカップ県予選で何とか復帰できたのは、「これまで一人でチームを引っ張ってくれた内田(颯真・3年)とコートに立ち、支えたかった」との思いだった。

リハビリから復帰した一宮裕貴

内田颯真は、一宮とともにウインターカップ県予選まで残った唯一の3年生だ。「県総体ではシードでありながら初戦負け。あのまま終われなかった。後輩に伝えなければいけないこともあったし、一宮が復帰するまでは自分がチームを支えようと思った」と引退せずに練習を続けた。最後の試合となった日田戦ではポイントガードとして、得点源の一宮をサポートし試合を組み立てた。

試合は序盤から大分上野丘がリードする展開が続いた。最終の4Qに一宮がファウルアウトしてからも内田を中心に相手の猛攻をしのいだが、最後の最後に競り負けた。3年生2人の高校バスケが終わった。一宮は「この1年間はツラいことばかりだった。最後の試合でファウルアウトして、力になれなかったことが悔しい」と涙を流し、内田は「勝って後輩にバトンを渡したかったけどできなかった。1、2年生は日頃の練習を積み重ね、優勝を狙えるチームになってほしい」と託した。

最後までチームを支えた内田颯真

(柚野真也)

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