サポーターたちの祈りは届かなかった。サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で日本がコスタリカ戦に臨んだ27日夜、宇都宮市内のスポーツバーでは集まったサポーターが勝利を信じ、熱い声援を送った。しかし日本の敗北が決まると、落胆が広がった。ドイツ戦の金星から一転、突き付けられた厳しい現実。それでもサポーターたちは「スペインに勝つしかない」「次は頑張って」と次戦に望みを託した。
「あー…」。試合終了のホイッスルが鳴ると、店内には大きなため息が漏れた。
宇都宮市池上町の「アイリッシュパブ ケルツ」にはこの日、サムライブルーのマフラータオルを身に付けた客らが次々と来店。新型コロナウイルス感染対策で窓を開け換気などを行う店内で、約50人が大型モニターや並んだ4台のテレビにくぎ付けになり、日本を応援した。
攻め込みつつも1点が遠い展開が続く。仕事で宇都宮市に滞在していた金沢市、会社員川崎太郎(かわさきたろう)さん(40)は「前半はつまらない展開だった。後半に期待したい」とゴールを願った。
「えっ入ったの?」。後半にコスタリカが先制すると、店内には動揺ムードが広がった。
「まだ時間はある」「信じようよ」。サポーターらは声を掛け合う。円陣を組み、「ニッポン、ニッポン」と声を張り上げる場面もあった。
しかし敗戦が決まると、全員ががっくりと肩を落とした。手で顔を覆い、天を仰ぐ姿もあった。
県内高校のサッカー部時代の仲間と訪れた東京都大田区、自営業羽島矢貴(はしまなおき)さん(32)は「もったいない試合だった。こんなことならギョーザを食べに行けばよかった」とうなだれた。決勝トーナメントに望みをつなぐ次戦は強豪スペイン。「無理でもスペインに勝つしかない」と気持ちを切り替えようと前を向いた。