第34回フジテレビヤングシナリオ大賞決定! ヤングケアラーの女子高生の成長を描いた「瑠璃も玻璃も照らせば光る」

「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞」の受賞者が決まり、応募総数1535作品の中から、元介護士で神戸看護大学大学院在学中の市東さやかさんによる「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も照らせば光る」が大賞に選ばれた。

坂元裕二氏、野島伸司氏、橋部敦子氏、浅野妙子氏、野木亜紀子氏ら、多くの人気脚本家を輩出してきた「フジテレビヤングシナリオ大賞」は、1987年に創設。テレビドラマで活躍する若手脚本家を募集・育成するためのシナリオ公募で、ドラマ・映画制作の現場に携わるフジテレビ関係者メンバーで厳正に審査される。また、受賞作品は、特典としてフジテレビでドラマ化される。第33回大賞受賞者である生方美久氏は、現在フジテレビ系で放送されている連続ドラマ「silent」(木曜午後10:00)の脚本を手掛けており、話題となっている。

大賞受賞作品「瑠璃も玻璃も照らせば光る」は、ヤングケアラーの女子高生の成長を描いたストーリー。うつ病の母親を抱え、家族のケアをしている高校生の主人公・木村ひかるは、演劇部の照明係の手伝いをすることになり、真剣に部活に取り組む転校生・立石瑠璃と、家事を担い続けなければならない自分の境遇との間で葛藤する。今を生きる登場人物たちがリアルで、葛藤を抱える若者たちを暗くなり過ぎない文体で描写。希望や夢を抱きづらい時代に、すがすがしい気持ちになれる読後感が高く評価された。

受賞会見で、市東さんは「シナリオ大賞の選考が進んでいくのが怖いところもあったけれど、大賞受賞の知らせを受けて、腹をくくることができました」と喜び、「シナリオを専門的に学んだことも経験もなく、作品もそこまで見てきたわけではない。そんな得体のしれない私のような存在に賞をくださった皆さんの器の大きさとチャレンジのおかげで受賞できたと思っているので、いつか恩返しをしたい」と先を見据えた。

さらに、今後に関しては「もともと介護士としていろいろな人と関わった経験があるので、人との交流の物語などを書いていきたいです」と抱負を述べた。

そのほか、佳作には、本山航大さんの「夜が明けても」、井本智恵子さんの「ラストチャンス」、伊藤優さんの「父を還す」が選ばれた。

なお、「瑠璃も玻璃も照らせば光る」はフジテレビで映像化され、12月27日(午後1:45、関東ローカル)に放送予定。

© 株式会社東京ニュース通信社