J1から地域Lまで全て経験…梅井大輝さん地元福井で再出発 第一線退きサッカースクール開校

J2リーグの公式戦でプレーする梅井大輝さん(右)=2021年2月、神奈川県の相模原ギオンスタジアム(SC相模原提供)

 サッカーJ1の横浜F・マリノスなどに在籍したDF梅井大輝さん(33)が9月に第一線を退き、地元福井でセカンドキャリアを歩んでいる。現役時代、大けがの影響で一時はアマチュア選手となったが、Jリーガーに返り咲くなど逆境を乗り越えてきた。「自分の経験を福井の子どもたちに還元したい」と12月中にサッカースクールを開校し再出発する。

 梅井さんは2008年に福井県立丸岡高校を卒業し、横浜Mに入団した。県内出身9人目のJリーガー、さらにJ1の強豪クラブとあって当時大きな話題となった。

 プロ3年目、大きな決断を迫られる。期限付き移籍先のJ2ザスパ草津で右足のすねを複数回骨折し、それが原因で腓骨神経まひを患う。右足先の感覚が鈍くなり、日常生活にも支障が出る。医師から「サッカーはもうできない」と宣告された。

 横浜M、草津との契約、移籍期間は満了した。だが諦めなかった。J2、JFLと下部のクラブを渡り歩きながらリハビリに専念した。「本当ならもっと動けるのに…」と葛藤の日々が続いた。少し動けるようになった13年から、北信越リーグ1部のサウルコス福井で活躍。16年にはJ3福島ユナイテッドFCと契約し、再びJのピッチに戻った。17~21年のJ3・SC相模原では主力で、初のJ2昇格に貢献した。

 復活を果たしたように見えたが、実は左膝前十字靱帯を断裂していた。手術せず満身創痍でプレーを続けていた。今年、現役を全うする覚悟でベトナムへ渡った。契約直前、メディカルチェックに通らなかった。「やりきった。次のステージに移るタイミング」とスパイクを脱ぎ、帰郷した。

 「地元に恩返しを」と、サッカースクールの開校は数年前から考えていた。J1~3、JFL、地域リーグと国内全カテゴリーを経験した。「けがや逆境を乗り越える中、メンタルの重要性も知った。自分とどう向き合い、コントロールすべきか、実体験を基に伝えたい」。メンタルトレーナーや心理カウンセラーなどの資格も取得した。褒めて伸ばす指導を心掛け、思考力、判断力、自信などを向上させたいという。

 ワールドカップ(W杯)でサッカー熱も盛り上がっている。「Jリーグや日本代表を夢見る子どもたちを後押ししたい」と意気込んでいる。小学生対象のスクール(有料)は12月6日に開校。会場は福井市の啓新高校で、6、7、13、14日には無料体験会も行う。

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