幻想的な布と光にミシンの音色 波佐見講堂で「仕立て屋のサーカス」公演

公演の中で子どもたちと積み木をする曽我さん(中央)=波佐見町井石郷、波佐見講堂

 長崎県東彼波佐見町井石郷の国登録有形文化財「波佐見講堂」で3、4日、国内外で高い評価を得ている舞台芸術「仕立て屋のサーカス」の本県初公演があった。築85年の木造講堂は楽器やミシンの音、布と光が交錯する幻想的な空間になった。
 仕立て屋のサーカスは音楽家・曽我大穂さんや服飾家・スズキタカユキさんらによる演劇ともダンスともつかないパフォーマンス。2014年東京で初演。会場ごとにメンバーや演目を変えながら、スペインなど海外でも公演を行った。
 波佐見公演は地元有志らの実行委主催(里山賢太代表)。講堂中央にステージが設けられ、それを囲むように観客は車座に。曽我さんが奏でる民族楽器やアコーディオンなどに合わせ、スズキさんがステージに巡らせた布や旗を操った。18歳以下は無料。客席を囲むように飲食などのマルシェもあり、休憩時間は子どもの声が聞こえる、どこか懐かしい縁日のような雰囲気になった。
 県立波佐見高吹奏楽部の顧問と生徒3人も管楽器で共演。曽我さんはスチールパンや鉄琴の即興演奏で応えた。1年の柿本ゆきさん(16)はフルートを担当。「初日は緊張したが、2日目は楽しく演奏できた。めったにできない体験」と笑顔を見せた。
 公演後、曽我さんは取材に「すてきな講堂でもっと良さが引き出せると思う。一過性ではなく毎年やってくるサーカスのように5年、10年と続け、地域の人が豊かになる場にしたい」と話した。


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