リフォーム会社選びで失敗しないために調べておきたい2つのこと

リフォームといっても、場所や作業により専門性は異なります。リフォーム会社を選ぶ際には、どんなことに注意すべきなのでしょうか?

テレビ東京「カンブリア宮殿」にも出演したリフォーム会社・さくら住宅創業者の二宮生憲 氏の著書『新版 住宅リフォームを考えたら必ず読む本』(あさ出版)より、一部を抜粋・編集してリフォーム会社選びで調べておきたい2つのことについて解説します。


「どこまで作業していただけますか」

リフォーム会社選びにはまず2つのことを調べておきたい

社員にどんな専門スタッフがいるか

最近のリフォーム会社はいろいろな業界からの参入が増えています。ついこの間までクロスやカーテン、あるいは家電等を扱っていた業者が、リフォームのチラシを出していることもあります。私は「そんな簡単にリフォームの仕事ができるのだろうか」と不安になってしまいます。

一口に「リフォーム」といっても、網戸の張り替えや水栓を交換するなど軽微な仕事から、屋根の全面葺き替え、浴室をシステムバスに交換、間取りの変更や増改築など大規模な工事まであります。

このすべてをこなしていくためには、専門知識をもった建築技術者が必要です。一級建築士や一級建築施工管理技士等の国家資格のある人たちをスタッフにもつのは当然です。インテリアまでトータルで相談する場合はインテリアコーディネーターも欠かせません。他にも照明コンサルタント、キッチンスペシャリストなどさまざまな資格があります。

本来のリフォーム会社はこうした資格を取得している専門家で構成されているのが理想です。

建設業許可を確認する

また、500万円以上の工事を請け負う会社は「建設業許可」を取得しなければなりません。逆に、500万円未満の工事の場合は、この許可を取得せずに工事することが可能になります。

「建設業許可」は一定の条件がありますので、その許可があるかどうかは大事です。「建設業許可」の中でも、「 一般建設業許可 」と、さらに条件の厳しい「 特定建設業許可 」の2種類があります。

許可を受けている会社は契約や工事で問題が起きたときに処罰の対象になり、違法なことはできないので消費者側は安心できます。 必ず会社を訪問して、この許可証を確認してください

また、先にも述べた通り一見簡単に思われがちなリフォームですが、実はリフォーム工事は新築工事より難しいのです。新築の場合は基礎から作るため、お客様の要望があれば間取りも自由に決められ、ある程度の変更には対応できますが、リフォームはもともとの家に手を入れる仕事ですから、建物全体を知っていないと安全できちんとした仕事はできません。とくに間取りの変更や増改築など建物の構造にかかわる工事では、お客様の要望に沿った工事ができるか否かがカギになります。構造上どうしても無理な場合もありますが、 既存を活かしながらよりよいプランを考えるのがリフォーム会社の腕の見せ所 です。

リフォーム会社を選ぶときは社員がどんな資格をもっているか、これまでどんな工事をやってきたか、どんな工事が得意なのかなどをきっちり調べることが必要です。

〔「許可証」「登録証」のチェックポイント〕

イラスト/上條夕子

「現場では工事はどのように進めますか?」

リフォームは工事の質で差がつく

分担制で進める会社のほうが安心

リフォーム工事の進め方については、営業から工事管理までを一人が担当する 一気通貫 のやり方と、営業・設計・工事の各部署が 分担制 で進めるやり方があります。

一気通貫はベテランの営業担当者に当たればうまくいく場合があります。しかし、これまでの長い間、建築業界にいる私の経験からいえば、営業担当者が現場監督までを兼務する一気通貫よりも、営業・設計・工事を分けた分担制のほうが、明らかに工事の仕上がりがきれいで、工事もスムーズに終わります。

一気通貫は、小さな工事、たとえば網戸の貼り替えや、風呂釜のみの交換など、比較的単純な工事はよいかもしれません。しかし、一般的なリフォームとなると話は変わってきます。

営業は工事契約をいただくことが本来の仕事です。現場知識の質・量では現場監督や本業の人とは比較になりません。専任の現場監督なら数多くの経験を積み、知識も豊富です。そのため臨機応変に対応できる判断力があり、職人さんの作業効率も上がり、工期や仕上がりにも差が出ることが明白なのです。

分担制では引き継ぎの点で不安に思われるかもしれません。しかし、各部署が打ち合わせをし、引き継ぎした内容を書類にして、最終的に精査した案件しか着工できない仕組みを作ればよいのです。

質の高い工事はそれぞれの専門家に任せる

また、担当者(営業や設計)は工事に入ったらすべてを現場監督に任せっきりにするのではなく、現場確認をする必要があります。つまり、一つの現場を営業・設計・工事の3名が見ることになるので、より質の高いリフォームとなるのです。

質のよいリフォームとはきれいな状態が長く保てることでもあります。手を抜くと、たとえばクロス工事では早くにつなぎ目が割れたり、極端な不陸(凸凹)があったりします。質の高い工事はそれぞれの専門家に任せるほうがよいでしょう。

現場監督の仕事についてはすでに書きましたが、もう一度考えてみてください。職人さんたちへの指示や工事の段取りをスムーズにできるのが現場監督です。

一気通貫では営業した人がそのまま監督をすることになります。案件をたくさん抱えると自分の仕事量が増え、ミスが増えることになりかねないのです。そして細かい納まり(工事の仕上げ方)等はすべて職人さん任せになってしまう恐れがあります。まして、新築より難しい現場を営業担当者がタイムリーに指示することは不可能です。

誰でもきれいにきちんとした仕上がりを期待します。そのために人手はかかりますが、現場監督が担当することで、より満足のいくリフォームができるのです。

また、そのほうが現場では職人さんたちとのコミュニケーションもうまくいってよい仕上がりになっていきます。

多くの現場や細かい納まり(工事の仕上げ方)を見てきた現場監督こそが、生命線であるといわざるを得ません。

現場監督はそれほど重要な役割を担っています。

工場は現場監督にバトンタッチ!
営業と現場監督を兼任しているとどうしても工事の仕上がりの質が落ちてしまいます。「餅は餅屋に」が鉄則!

「コストと品質はどう考えればよいですか?」

リフォームには安くてよいものはない

工事がともなうので「安さだけ」は追求できない

できるだけよいものを安く買いたい……とは誰でもが思うことです。

全く同じ商品であれば、少しでも安いほうがよいかもしれません。しかし、建築業界にはこの理屈は当てはまりません。

以前、新聞やテレビで毎日のように報道されていたマンションの耐震偽装の問題では、購入者も「同じ広さで他よりも10~20%近く安かったので買った」という方が多いと報道されていました。「できる限り安く」という気持ちが先行し高いのは損という意識があったのではないでしょうか。

これは、同じ建築業界としてリフォーム業界も考えさせられる事件でした。この本をお読みいただければおわかりになると思いますが、「工事がともなうもので安いほうがよい」では、 必ずどこかにヒズミが出てくるので危険 と考えなければなりません。

「安ければ何でもよい」という風潮はとても危険

たとえば大工さんが3日かかる工事を、安くするために2日に減らせば、工事費が1日分安くなります。そのため、どこか工事に雑な部分や、見落としが出るなど、結局はお客様にご迷惑をおかけする結果になることが予想されます。その他にも、とくに水廻りに関する場所では、古い配管をそのままにするとか、土台や柱に問題があってもそのままにして上から隠してしまうとか……。「とにかく安く請け負ったのだから、手間を省こう、早く工事を終わらせよう」と、いわば臭い物にはすべてフタをしてしまいかねません。

どうしてこんな値段で工事ができるのだろうかと思うようなチラシが氾濫しています。安ければ何でもよいという風潮はとても危険です。消費者(施主)の方たちも価格だけで判断することは、そろそろやめる時期にきているのではないでしょうか。

メーカーが推薦する会社リストから選ぶのも手

大切な住まいをこれからもずっと快適に暮らすためのリフォーム。「安いから」で会社を決めると、安心できる工事は望めない場合が多いのです。

とにかく信頼できるリフォーム会社を選ぶこと。リフォームした経験のある友人知人に相談して紹介された会社に頼んだり、メーカーのショールームでそのメーカーが推薦する会社のリスト(必ずあります)をもらったほうが、よりいっそう安心できると思います。

たとえば、メーカーの推薦する会社リストから選んで工事を依頼した場合、何かクレームにつながるような問題が発生すれば、その会社は次回のリストから外されます。そのため、その会社はより慎重に説明をし、きちんとお客様に納得していただいたうえで工事を進めることになります。

むやみに相見積りをとらない

さらに言えることは、いちばん安い会社を探すために見積りをたくさん取ることに時間を割くよりも、 自分がこうと思った一社 (検討している会社、口コミで評判のよいところ、メーカー推薦の会社)と 徹底的に話し合って決めたほうがよい結果が出る ということです。

皆さんが各会社の担当者だったらと考えてみてください。自分を信頼していろいろと相談してくれれば、一生懸命に応えてあげたいと思いませんか。それは誰でも納得のいくところでしょう。

また依頼する会社を決めるのは自己責任。徹底してその会社のことを調べることも大事です。どのような工事が得意で、どのようなシステムで、どのようなメーカーとの結びつきが深いのか……。自分なりに確認し、納得してから頼むのも重要なのです。

建築の場合は、結局すべては人が動いて工事を進めます。安くてよいものはないという前提に立って考えるのが自然なのです。

著者:二宮 生憲

[(https://www.amazon.co.jp/dp/4866674008)※画像をクリックすると、Amazonの商品ページにリンクします
24期連続黒字、リピート率9割以上、8万件以上の工事施工実績をもつリフォーム会社の創業者が著した、お客様(施主)が後悔しない「よいリフォーム」をするための入門書。
リフォーム会社選びから、プラン作成、予算の決め方、工事中の注意事項まで手取り足取り、お教えします。

© 株式会社マネーフォワード