寄宿舎存続陳情を不採択 保護者「話し合う場を」 栃木県議会

那須特別支援学校に併設された寄宿舎=2月下旬、那須塩原市

 那須、栃木の県立特別支援学校の寄宿舎の存廃を巡り、栃木県議会文教警察常任委員会は9日、存続を求める両校保護者らが提出した陳情を多数決で不採択とした。県教委が本年度末での閉舎を延期する考えを表明する中、石坂太(いしざかまさる)委員長は「存続・廃止の結論を出せる段階ではない」と不採択の理由を説明。同委員会では、今後の特別支援教育の在り方について保護者に十分な説明を行うよう意見を付すことを決めた。

 那須校の陳情は閉舎計画を停止した上で検討組織を立ち上げ、存続を含めた再検討を行うよう求める内容で、9月通常会議で継続審議となっていた。栃木校の陳情は11月に提出され、寄宿舎の存続を求めていた。

 この日の陳情審査はプライバシー保護の観点から、非公開で行われた。終了後、取材に応じた石坂委員長と関谷暢之(せきやのぶゆき)副委員長によると、多数決で不採択4人、採択1人、継続審査1人だったという。

 関谷氏は「両陳情とも存続を求める趣旨が含まれており、現段階では議会としてふさわしいものではないという見解に基づいての不採択だ」と理由を説明。石坂氏は「まずは県教委が特別支援教育のビジョンを示した上で、保護者に説明する土壌をつくるべきだ」と指摘した。

 不採択について、那須校の卒業生保護者で陳情を提出した菊池忍(きくちしのぶ)さん(48)=大田原市=は「結果は残念。議論の過程を知りたい」と受け止め、「対等な立場で話し合う場を設けてほしい」と県教委に求めた。

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