400年前のビール再現 希少な古代小麦使用 平戸・松浦史料博物館が販売

再現ビール2種の製造、販売を黒田市長(中央)に報告した岡山館長(左)=平戸市役所

 長崎県平戸市鏡川町の松浦史料博物館は約400年前、平戸で飲まれていたビール(発泡酒)を現代の製法で再現。「REVIVAL HIRADO 1636」「REVIVAL HOLLAND 1638」と名付けた2種の販売が9日から始まった。

松浦史料博物館が400年前のビールを再現した「REVIVAL HIRADO 1636」(右)と「REVIVAL HOLLAND 1638」

 平戸は17世紀前半、オランダ・東インド会社が商館を構えた貿易拠点。1636年9月21日付の「平戸オランダ商館会計帳簿仕訳帳」輸入品一覧に「1樽(たる) ビール」、同12月31日付には「ビール醸造等に使用された茶褐色の中国産粉砂糖」の仕入れ価格などが記載。平戸は国内最初のビール伝来・製造地とされ、17世紀初め、ビールを飲む習慣があった可能性がある。しかし現在、市内にビール醸造業者はいない。
 同博物館は1年以上前から、徳島県の地ビール製造会社に製造協力を依頼し、所蔵資料を基に17世紀のビールの味を追求。「1636」は小麦をベースに黒砂糖(黒糖)を加え、アルコール度4%の爽やかな口当たり。「1638」は当時、オランダから輸入したオーク樽貯蔵ビールとして、希少な古代小麦を使って醸造。オークチップで香りを付けた。
 9日、岡山芳治館長が市役所を訪れ、黒田成彦市長に再現ビール製造などを報告。黒田市長は「平戸発祥、平戸ゆかりのビールがないことを残念に思っていたのでうれしい。乾杯のビールとして広まれば」と述べた。岡山館長は「観光客や市民に親しんでほしい。今後、販路開拓に努めたい」とPRした。
 各350ミリリットル入り、990円。同博物館、平戸オランダ商館(大久保町)で販売。平戸オランダ商館(電0950.26.0636)。


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