今年の漢字は

 なかなかの自信作っすよ-本社運動部の中島宙記者がそんな調子で話しかけてきたのは、サッカーW杯で日本代表がクロアチアに敗れた次の日だった。「長崎版の『今年の漢字』は『新』でどうでしょう」▲以下、中島説-。「2月の知事選で新しい知事が誕生したでしょ。9月には西九州“新”幹線が開業。W杯では長崎出身の監督と主将が『新しい景色』を合言葉に戦って『新時代』の入り口を見せてくれました」▲むむ、なるほど。完成度の高さに脱帽しつつ、敬意を表して実名入りで紹介してみた。そういえば、長崎市役所も新庁舎への引っ越しが徐々に進んでいる。超高層の再開発ビルが先月開業したのは“新”大工町▲その年の世相を表す漢字1文字を公募で選ぶ日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」が始まったのは1995年で、最初に選ばれたのは阪神大震災の「震」。新型コロナウイルスの流行が始まった一昨年は「密」、昨年は東京五輪のメダルラッシュで「金」▲さて今年の全国版は―。ウクライナの「戦」か、元首相銃撃の衝撃と本塁打新記録の「弾」か、そのムラカミ選手と相次ぐ値上げの「上」か。一年を漢字1字で語る難しさを改めて思う。今年も残り20日▲皆さんの1文字は何だろう。京都・清水寺の“正解発表”はあすの午後。(智)


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