キュウリじゃなくて、まんじゅう添えて 鹿沼の「河童大王」

休憩所の入り口にある「河童大王」

 かっぱまんじゅうで有名な鹿沼市深程(ふかほど)の和菓子店「黒子松屋」の屋外休憩所入り口にある石像「河童(かっぱ)大王」。「小倉川かっぱ駅」としてまちの駅に認定された同店に立ち寄る人を、愛嬌(あいきょう)あふれる表情で迎えてくれる。

 小倉川(現在の思川)に住んでいた「いたずらかっぱ」の伝説を観光資源として活用し、地域を盛り上げようと同店の黒子英男(くろこひでお)会長(82)が2010年に約100万円をかけ制作した。以来、像目当てで訪れる人が増え、地域振興を担うシンボルとして注目を集めている。

 伝説によると、かっぱは深程の諏訪山城主小倉主膳之介(おぐらしゅぜんのすけ)に相撲でこっぴどく負け、いたずらをしないことを誓って川に姿を消した。こうした経緯もあり、「(甘い物を)食べて機嫌を直してもらいたい」という意味も込め、手にはキュウリではなくまんじゅうが添えられた。

 伝説や民話を知らない若い世代が増えてきたこともあり、黒子会長は「後世に語り継いでいく存在でもある」とし、「見に来て土地に関心を持ってくれたらうれしい」と話した。

 【メモ】鹿沼市深程1666。高さ約1.5メートル。店の外には伝説と関連した「かっぱ太郎」や「河童七福神」も置かれている。

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