高級酒造りに「しずく取り」 那須烏山の島崎酒造で作業

布袋をおけにつり下げる職人たち

 日本酒「東力士」を醸造する那須烏山市中央1丁目の島崎酒造で12日、「しずく取り」と呼ばれる日本酒造りの中でも珍しい作業が行われた。

 日本酒は米、米麹(こうじ)、水を原料に発酵させた「醪(もろみ)」を搾り、酒と酒かすに分離させて完成する。

 「しずく取り」は搾り作業における一手法。機械の圧力で搾って分離させる方法ではなく、醪を布袋に入れて一昼夜つるし、自然の重みで酒と酒かすを分離させる。

 多くの酒蔵では品評会向けの酒造りの際にのみ行うというしずく取りを、島崎酒造は「極雫(きわみしずく)」という高級酒造りのために毎年取り入れている。この日は職人6人が手際良く布袋に醪を注入しては、大きなおけに袋をぶら下げていった。

 杜氏(とうじ)の関根達郎(せきねたつろう)さん(41)は「しずく取りは酒がきめ細かでなめらかな味わいになるのが利点。機械で搾るより手間暇がかかるが、やるだけの価値がある」と話した。

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