全国大会冬の陣(6) サッカー男子 伝統のパスサッカーでベスト4超えを目指す大分 【大分県】

3年ぶりに全国高校サッカー選手権大会に出場する大分。キャプテンの吉川獅子心(3年)は「今年のチームは特に3年生の個性が強く、意見が合わずに衝突することも多かったが、本気で言い合えたからこそ、今は強い信頼関係がある。大分の伝統であるパスサッカーを披露したい。自分たちのスタイルを貫く」と意気込む。

県予選では、けが人が多く、ベストメンバーを組めない試合が多かったが、それぞれが空いた穴を埋めることで一体感が芽生えた。エースストライカーの佐藤翼(同)の穴を埋めたのは青山京志郎(同)。本来はチャンスメーカーだったが、「前のポジションの選手にけがが多く、自分でゴールを奪う意識が高くなった」と、大会得点王となる11得点を挙げた。青山の活躍はチームに勢いをもたらし、自陣で守備を固める相手に手を焼くも、5試合で44得点と攻撃力が爆発した。小野正和監督は「これまでなら、主導権を握りボールを支配しても、最後の場面で崩せず、焦りから失点することもあったが、粘り強く戦えるようになった」とチームの成長を感じている。

全国大会に向けてチームの雰囲気はいい

県内では強者だった大分だが、全国に出ればそうはいかない。初戦の相手となる聖和学園(宮城県)は部員およそ250人を抱える強豪校。チーム内競争が激しく、それぞれ高い個人技を武器とする選手たちでチームを成す。青山は「相手はドリブル主体のチームだが、自分たちはパスサッカーで対抗したい」と、持ち味を存分に出し、打ち合いを制する覚悟だ。

全国での戦いとなれば、大分に対してどのチームもベタ引きすることなく、前へ前へと仕掛けてくるだろう。そうなれば大分にとってはかみ合わせがよく、「自分たちのスタイルが出しやすくなるが、攻守のバランスを考えてプレーしたい」(吉川)と、チームには慢心はない。まずは初戦突破に力を注ぎ、一戦必勝で過去最高のベスト4超えを目指す。

攻守の要となる吉川獅子心

(柚野真也)

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