「なぜこんなことに…」「まさかこんな近くで」鳥インフルに金武の住民驚き…風評への懸念も

 【北部】養鶏農場での鳥インフルエンザ感染が確認された沖縄県金武町では16日、鶏の殺処分が実施された養鶏場周辺や町内の防疫ステーション、埋却地などで県職員や関係者らが緊迫感に包まれた中で消毒作業などに当たった。7529羽の鶏が死んだ養鶏場の関係者は「原因が分からない」と悲愴(ひそう)感を漂わせた。一方、町内では鶏肉や卵の買い控えなど風評被害への懸念も広がった。

 畑や水田が広がる中にある養鶏場。16日午前9時ごろ、移動制限区域に指定されると、関係者らが防護服を着て防疫作業用の資材を運ぶ様子が確認できた。

 養鶏場によると、鶏舎は鳥インフルエンザ対策を施した「ウインドレス(窓なし)鶏舎」だった。関係者の男性は「野鳥と接触するような環境ではなかった。なぜこんなことになったのか」と声を落とした。

 近くに住む男性(79)は「この辺りは田畑が多く野鳥も飛来するが、これまで鳥インフルエンザなんて聞いたことがなかった」と驚き、「ニュースで『北部』とは聞いていたが、まさかこんな近くだったなんて。行政は正確な情報を早めに出してほしい」と話した。

 致死率の高い「高病原性」ではなかったもののうるま市では今月上旬、野鳥の死骸から鳥インフルエンザの陽性反応が確認されていた。「うるま市の件もあったので、養鶏場からいつ出てもおかしくないとは思っていた」。金武町内の40代女性は不安そうな表情を浮かべる。「風評被害で鶏肉や卵の買い控えが起きるのではないか」

 防疫センターとなった金武町立武道館では、早朝から県職員が防護服などの準備を進め、作業に当たる建設関係者らが足早に現場へ向かった。

(増田健太、岩切美穂、松堂秀樹)

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