『栃木国体 天皇杯45位転落』 抜本的改革は不可欠 障スポは県勢活躍 <長崎スポーツこの1年>

国体史上初の4連覇を達成した銃剣道成年。優秀な指導者の下での継続が結果につながった=栃木県壬生町、壬生高体育館

 コロナ禍で3年ぶりに開催された国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」。長崎県の天皇杯(男女総合)順位は45位、皇后杯(女子総合)は最下位に沈んだ。天皇杯を獲得した2014年長崎がんばらんば国体から8年。競技力向上対策が他県に劣っていたという現実を突きつけられた。
 正式40競技中、22競技が入賞できなかった。予選落ちや初戦敗退が目立ち、期間中は1997年大阪国体以来の最下位転落も危ぶまれた。
 出場5人全員が入賞したカヌーをはじめ、健闘した競技もあった。8年ぶりに成年が入賞した軟式野球とゴルフ、成年が準優勝した相撲、優勝者を出したライフル射撃、少年男子が5位に食い込んだラグビーなどは、前回の2019年茨城国体から得点を伸ばした。銃剣道の成年は4連覇。ソフトボール勢も少年男子が3位に入り、バドミントン少年男子は過去最高の準優勝を果たした。
 国体は来年の鹿児島から、佐賀、宮崎と5年以内に3回も九州で開催される。対象県はいずれも競技力向上に本腰を入れており、今年は九州ブロック大会の突破が例年以上に難しかった。県勢は剣道少年男子など、期待された団体競技が本大会へ進めなかったことが、そのまま最悪に近い結果につながった。
 県代表入りした選手たちの「地元のために」「出られなかった仲間のために」という思いは、これまでと変わらない。では、どこに問題があり、何をすべきなのか。夢や希望を持った子どもたちのために、行政や競技団体、指導者が知恵を絞り、行動することは不可欠と言えるだろう。優秀な指導者の転勤に伴ってチーム力が低下するような教員人事の見直し、競技団体が一体となった中長期的指導体制確立などの抜本的な改革は早急に取りかかれるはずだ。
 一方で4年ぶりの開催となった全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」での県勢の活躍は見事だった。陸上知的の短距離で3冠を達成した臼木大悟(希望が丘高等特支)をはじめ、金6、銀12、銅11の計29個のメダルを獲得した。
 コロナ禍の中、現場と県障害者スポーツ協会が協力して続けてきた地道な努力を、選手たちが全国の大舞台で披露した。1年半後のパリパラリンピックへ向けても、手応えをつかめた大会になった。


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