栃木県日光市山内の世界遺産・日光山輪王寺で21日朝、年の瀬の餅つき行事「御供加持(ごくうかじ)」が行われた。
年末恒例の風物詩である餅つきは午前8時過ぎ、本堂「三仏堂」前で実施。僧侶と山伏が結界内に入場して臼を清め、読経をささげた。山伏たちは「よいしょ」と威勢よいかけ声とともに、力強くきねを振り下ろして約5キロの餅をついた。最初についた餅は三仏堂の本尊に供えられる。
今後、30日までに計120キロ分の重ね餅を作り、各お堂の本尊に供えて正月準備を整える。先達を務めた輪王寺支院・桜本(さくらもと)院の小暮道芳(こぐれどうほう)住職(39)は「年始に向かうための身の引き締まる行事。先の見えない世の中だが、光が差すような明るい年になるよう祈って執り行った」と話した。
餅は神仏への最高の供え物であり、山伏の携帯食だった。輪王寺の餅つきは「餅練り」と呼ばれ、古くから修行する山伏が行ってきた。