冬の主役たち(2) サッカー男子 大分の双子・今田昴輝と倖聖が左サイドを制圧する 【大分県】

全国高校サッカー選手権大会(全国選手権)に出場する大分の左サイドから得点を生み出すのが、3年生の今田昴輝と倖聖の双子だ。小学2年生の時に一緒にサッカーを始め、中学では息の合ったコンビネーションで、出身地の長崎県内では「今田ツインズ」として名が知られていた。高校は全国を目指すため、母親と一緒に3人で大分に引っ越した。兄の昴輝は「県予選を突破できなかった過去2年間は全国に行けなかったので、年末年始の里帰りをした時に長崎の友だちと会っても、情けないという思いがあった」と話し、弟の倖聖は「3年目にしてようやく目標が達成できた。大分高校の一員として全国で活躍したい」と誓った。

高校に入学した当初から、ツッコミ役の昴輝、ボケ役の倖聖のにぎやかな性格が受け入れられ、新しい環境にもすぐになじんだ。Bチームからのスタートとなった二人だが、1年生の夏に倖聖がAチームに入り活躍する。「俺も負けられない」と昴輝も得意のドリブルに磨きをかけAチーム入りすると、入れ替わるように倖聖がBチームに降格する。そんなことを繰り返していた二人が2年時にAチームに定着すると「見なくても感覚でわかる」(昴輝)、「考えていることが同じなのでタイミングが外れることはない」(倖聖)と絶妙のコンビネーションでチームの中心となった。

今田昴輝(左)と倖聖(右)

サイドハーフで攻撃的なポジションを担う昴輝は、ドリブル突破で何度も左サイドをえぐり込んでいく。今年はフリーランニングに磨きをかけ、ボールのない場面での動きの質が上がった。サイドバックの倖聖は突破力と精度の高いキックで後方から攻撃を組み立てる。広い視野でパスを散らしたかと思えば、空いたスペースから一気に攻撃参加して決定機を生み出す。今田兄弟が君臨する大分の左サイドは、相手に脅威を与えるストロングポイントとなった。

初めての全国選手権に向けて、昴輝は「縦突破でチャンスをつくり、得点やアシストなど目に見える結果を残したい」と意欲を燃やす。一方の倖聖も「全国でも大分の特徴であるパスサッカーが通用することを証明したい。個人的には得点に絡むプレーをしたい」と抱負を語る。二人ともサッカーを始めた頃から変わらぬトレードマークの坊主頭のため、見分けにくいが「優しい目をしているのが自分で、あっち(昴輝)はツンツンしている」とは倖聖の言い分だ。高校卒業後は同じ大学に進学し、一緒にプレーする。昴輝は「大学は別れたかった」ようだが、倖聖の「活躍したいなら二人一緒でないといいプレーはできない」との言葉に納得し、同じ道を選んだ。これからも一緒にサッカーを続けるが、二人は声をそろえて「全国選手権で活躍して、いい形で大学につなげたい」と意気込みを語った。

全国選手権での活躍を誓い合った

(柚野真也)

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