並行在来線の現状 佐賀県側で利便性低下 長崎県議会新幹線議連、沿線自治体と意見交換

西九州新幹線開業後の並行在来線区間の状況について意見交換した現地調査=佐賀県、鹿島市役所

 長崎県議会の九州新幹線長崎ルート建設促進議員連盟(瀬川光之会長、42人)の17人が21日、佐賀県の鹿島市と太良町、諫早市を訪れ、9月の西九州新幹線開業に伴い、並行在来線区間となった長崎線(江北-諫早)の現状について意見を交わした。佐賀県側の利用者から利便性の低下を指摘する声が上がっており、両県の共通課題として解決に向けて取り組む必要性を確認した。
 同連盟による沿線自治体の現地調査は初めて。各自治体の担当者らが現状を報告した。
 鹿島市によると、肥前鹿島駅に停車する特急の本数は開業前の45本程度から14本に激減。利用者減がさらなる減便につながる「負のスパイラル」への懸念が示された。松尾勝利市長は、沿線自治体と両県、JR九州、国土交通省などによる協議体をつくり、長崎線の運行について議論を進めたい考えを述べた。
 太良町は特に通学に利用する高校生に影響が出ていると説明。開業に伴い、肥前浜(鹿島市)-諫早が非電化区間となったため、佐賀方面に向かう高校生は肥前浜駅での乗り換えが新たに発生し、不満が漏れているという。
 諫早市の沿線駅は開業前と同水準のダイヤが維持されており、市は現時点で問題は生じていないとした。
 現地調査を終え、瀬川会長は「佐賀県側の沿線で利便性が低下しているのは間違いない。両県の課題として県議会も解決に向けて努力していく」と話した。
 上下分離方式の並行在来線区間は、長崎、佐賀両県設立の一般社団法人が鉄道施設を維持管理し、JR九州が開業後23年間運行することになっている。


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