医療逼迫最大級、ワクチン積極検討を インフル流行「兆しある」

ワクチン接種など感染対策を訴える県医師会の稲野会長(左)=22日午後、宇都宮市駒生町

 県医師会は22日、宇都宮市内で記者会見を開き、診療体制が手薄になる年末年始に備え、新型コロナウイルスワクチン接種の積極的な検討を呼びかけた。稲野秀孝(いなのひでたか)会長は「コロナ禍3年目で最大級に医療が逼迫(ひっぱく)している」と訴え、感染対策の継続を求めた。インフルエンザとの同時流行にも警鐘を鳴らした。

 感染第8波で、県内の病床使用率は約7割まで高まるなど危機的状況にある。影響は医療従事者にも広がり、深刻な医療機関の人手不足に稲野会長は「手いっぱいの状況」と明かした。

 年末年始は発熱患者を診る県内約700の医療機関の多くが休診となり、31〜1月3日は診療可能な医療機関が約20〜30カ所にとどまる。長島徹(ながしまとおる)副会長は「自己検査キットや解熱剤を確保するなど熱が出た場合の準備が必要」と求めた。

 インフルエンザとの同時流行について、浅井秀実(あさいひでみ)副会長は「兆しがある」と指摘した。東京都は22日に流行入りを発表し、県内でも感染報告が出始めている。オーストラリアでは今夏に同時流行した。

 幼児が脳症を発症する懸念も高まるとして、浅井副会長は「インフルエンザワクチンは同時接種できる。ぜひ検討してほしい」と話した。

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