新規感染者が急増中 年末年始 医療現場で “ひっ迫” 危機感

学校も冬休みに入り、職場の多くもまもなく年末年始の休みです。そんな中で新型コロナの感染者数は、深刻な状態です。医療の現場では、年末年始にかけて「ひっ迫」への危機感が高まっています。

広島市にあるクリニックの発熱外来です。発熱やのどの痛みなどの症状で受診を予約した患者が相次いで訪れています。

医師が抗原検査の結果を確認すると…。

「(新型コロナ陽性と)出ている」

こうした状況が連日、続いています。

大橋内科医院 大橋信之 院長(広島市医師会 常任理事)
「第7波のときもそうだが、(陽性率は)多いときは8割くらい。流行が強くなっているのをひしひしと感じるような数字」

患者を受け入れる現場の医療機関は、厳しさを増しています。各地の病院で院内クラスターが相次いで発生していて、現場のクリニックにもその影響が及んでいます。

大橋信之 院長
「病院内で新型コロナ陽性者が出てしまうこと、これはスタッフでも、入院している人でもあり得ると思うが、そういう中でどうしても病室の数を制限しないといけなくなってしまう。スタッフの数も制限せざる得なくなる。だから、救急で病院に搬送されても入院できないということが実際に起こっている

実際にかかりつけの患者の救急搬送が、困難になったケースもあったといいます。

大橋信之 院長
「家で倒れている状況で、意識はあるが、おそらく脳血管障害だと思われるので、早急に救急搬送が必要な状態だが、それをお願いしたところ、そういう病院の今の受け入れ状況で、どうしても難しいということ」

さらに心配しているのは、この冬一番の寒波の到来で急激に冷え込みが厳しくなっていることです。

大橋信之 院長
「特にことしは急に寒くなって来ているので、いわゆる感染症でかぜをひく。コロナになる。それから発展して肺炎になる人も増える懸念があるし」

「脳の血管とか、心臓の血管の病気とか、どうしても増える時期なので、それが今の寒さですごく危惧される」

感染拡大が続くコロナの第8波。広島県は、このペースが続けば、年末には第7波のピークを超え、年明けにはコロナ病床が満床になるおそれがあるとしています。

では、コロナの入院患者を受け入れている病院の現状は―。

舟入市民病院 北原良洋 内科主任部長
「このパーティションの向こう側がコロナ病棟になる」

高熱などの軽症患者や肺炎などの中等症患者を受け入れている舟入市民病院。現時点でコロナ病床が20床ありますが、すでに8割から9割が埋まっている状態だといいます。

北原良洋 内科主任部長
「以前(第7波まで)は若い人が多かったので、ある程度、治療すれば、残りの期間は自宅に退院して療養することができたが、現在は80~90歳の高齢の人が多いので、なかなか退院できないのが現状」

病床のひっ迫が懸念される中、気になっているのが、インフルエンザの流行状況です。

北原良洋 内科主任部長
「インフルエンザの患者も少しずつだが、いるので、これが年末年始にかけて増えてくると、インフルエンザの患者もコロナの患者も同じように診療しないといけないから、今以上に病床がひっ迫してくる可能性はあると思う」

さらに年末年始にかけ、懸念しているのが、救急医療への影響です。

舟入市民病院 北原良洋 内科主任部長
「現状では発熱があると、救急要請しても受け入れ先がなかなか見つからないということが多い。現に当院にも15件以上、断られて、『何とか受けてほしい』という要請があったことがある。今後も発熱患者の『救急搬送困難例』が増えてくることが非常に懸念される」

医療ひっ迫という事態が、目の前まで近づいています。

― 広島県は、年末年始を中心にした発熱患者などの診療・検査体制を21日に公表しました。それが、こちらの表で、発熱などの患者が診療や検査を受けられる医療機関をご覧の数ほど確保したとしています。

具体的な医療機関のリストは、県のホームページに26日から掲載されます。県では、受診前に必ず事前の電話予約をするよう呼びかけています。

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