物価上昇や円安は家計にどう影響したのか−−2023年への対策をFPが解説

2022年は約32年ぶりに1ドル151台の円安を記録。また、物価上昇も続いていますので家計の厳しさを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

今回は、株式会社マネーフォワードが行ったアンケート『お金の意識調査2022』をもとに、2022年を振り返りながら2023年に向けたお金への向き合い方をお伝えします。


2022年の家計「物価上昇・円安」を振り返る

長い間、モノの値段が上がらないデフレ時代を過ごしてきた日本にとって、2022年はウクライナ情勢や円安などの影響による急激な物価上昇を実感した年になりました。光熱費や食品、日用品などの生活に欠かせない品目の値段が上がっていき、今後もその傾向はおさまる気配が見えません。

物価上昇・円安で「増えた」と感じる支出について聞いたところ、1位は食費、2位が水道・光熱費となっています。食費、水道・光熱費は2023年に減らしたい支出の1位、2位でもあります。いずれも実際に値段が上がっていますので、家計への影響も少なくありません。

また、趣味・娯楽は予算を増やしたい支出の1位です。コロナ禍で我慢していた旅行やレジャー等のお金を確保するためにも、自分にできる対策で支出削減を心がけていきましょう。

物価上昇への対策

それでは、2023年に向け、家計を守るために物価上昇へどのような対策をしたらよいでしょうか?

食費なら、値上げの影響の少ないものを購入することです。輸入品は円安や輸送コストの影響が反映されていて値上げが続いています。主食ならお米、おかずは旬の野菜中心の献立にしてはいかがでしょうか。忙しい時は冷凍食品や加工食品を購入することもあるでしょうが、値上げの影響が出てきています。なるべく手間のかからない調理法で自炊生活を心がけることで、ある程度は抑えられそうです。保存がきくものは安い時にまとめ買いし、生鮮食品は買いすぎを控えてきちんと使い切る、といったことを意識することも有効でしょう。

電気料金の高騰は、燃料費の変動に応じて加算あるいは減額される燃料費調整額の影響が大きいようです。燃料費調整額は、電力会社や料金プランにより異なり、上限が設けられている場合もありますが、最近の世界情勢や円安により上限撤廃を発表する会社が相次ぎました。少しでも安い電力会社やプランを探すことも有効ですが、全体的な値上げ傾向は続きそうですので、省エネグッズの利用や、節電を心がけるなど、電気の使い方にも気を付けたいものです。

投資意識の高まりで投資の知識を身につけたい傾向も

同調査では、投資やお金への考え方も聞いています。例えば、2022年に投資への意識・関心が高まったという方は55%と半数以上。また、今後身につけたい、気にしたいと思う金融リテラシーは、1位が投資・資産運用で43%、2位が家計・資産管理14%と、圧倒的に投資への興味が高いことがわかる結果となりました。

しかし、2022年冬のボーナスの運用先では、1位は貯蓄、2位が投資という回答でした。投資への意識の高まりはあるものの、まだ実行に移せていない方も多いことがうかがえます。

物価上昇へは貯蓄だけでは対応できせん。物価が上昇していくと同じ金額で買えるモノやサービスの量が減ってしまうので、お金の価値は目減りしてしまうからです。インフレにともなうお金の目減りを防ぐためには、貯蓄だけではなく、投資が必要になってくるでしょう。

2024年からはNISAの拡大が予定されている

貯蓄から投資への流れは加速しています。政府も「資産所得倍増プラン」を掲げており、2022年12月16日(金)、令和5年度の与党税制改正大綱で2024年1月にも少額投資非課税制度(NISA)が恒久化されるとともに投資枠が拡充する案を発表しました。

これまでの年間投資枠は、一般NISAは120万円、つみたてNISAが40万円でしたが、2024年からの投資枠は、一般NISAが成長投資枠として倍の240万円、つみたてNISAは3倍の120万円となりそうです。NISAは最大で年360万円、生涯投資枠1,800万円まで利用できるようになる見込みです(2022年12月20日現在)。

通常、投資で得た利益からは20.315%の税金が差し引かれますが、NISAでは税金が引かれません。長期で運用すればするほど投資のメリットは高まりますので、NISA制度が恒久化されることの効果は大きいでしょう。効率的に資産を増やしていくには投資への基礎知識をつけることが必要な時代になってきました。

家計を見える化する意義

投資への資金を確保するため、また趣味や娯楽などやりたいことを実現していくためには家計管理は重要です。紙の家計簿はなかなか続かない人でも、スキマ時間にスマホで気軽に入力や確認ができる家計簿アプリなら続けられる可能性も高まるのではないでしょうか。

家計簿アプリ『マネーフォワード ME』を利用して家計改善を実感した方の改善額は、平均で1月あたり23,426円だということです。年換算で約28万円にもなります。

年間28万円もの節約、何か特別なことをしているのかと思えば、改善した人が意識していることの第1位は、日ごろの支出(85%)なのです。家計を見える化することにより、普段何気なく使っているお金を意識するようになり、節約につながっているのではないでしょうか。家計改善を実感した方の約54%が、「無駄遣いが減った」と答えていることからもうかがえます。

銀行口座やクレジットカードなどキャッシュレス決済と連携させれば、そもそも入力することなく自動計算してくれるのが家計簿アプリの強みです。また、面倒な計算も不要で、グラフや数字で家計を簡単に見える化できます。

家計簿はつけるだけでなく、活用する時代になってきました。家計簿の記録をもとに家計を見直して改善していくことで、これからの物価上昇にも対応していくことも可能になるでしょう。自分に合った方法で家計を見える化し、2023年も家計を守っていきましょう。


マネーフォワード ME ご利用状況とお金の意識調査』概要
実施時期:2022年10月19日(水)~10月25日(火)
調査対象:お金の見える化アプリ『マネーフォワード ME』利用者(回答者数9,727名)
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査

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