正月食材にも物価高の波 カニ3割値上がり おせちは4〜5人用が人気

スーパーの一角に並ぶ正月食材。カニを中心に値上がりしている=27日午前、宇都宮市平松本町

 ロシアのウクライナ侵攻などによる物価高の影響が正月食材にも及んでいる。栃木県内のスーパーではカニの販売価格が前年比で3割近く値上がりし、客からはため息が漏れる。定番のかまぼこやだて巻きなども1〜2割近く仕入れ値が上がった。新型コロナウイルス禍が続く中、全国的に行動制限のない年末年始は3年ぶり。帰省者の増加が予想され、おせちは4〜5人用の需要が戻りつつある。

 27日午前、宇都宮市平松本町のスーパー「フードオアシスオータニ平松店」。店内の一角に正月食材がずらりと並ぶ。同市東峰町、主婦(72)はカニのコーナーをのぞいたが、「高くて買えない」。

 県内で30店舗を展開するオータニによると、タラバガニやズワイガニの値段は数千円から1万円台とさまざまだが、全体的に昨年より3割ほど仕入れ値が上がった。漁獲国のロシア情勢に加え円安なども影響した。

 10年前は約5千円で買えたカニの盛り合わせは、今年は約1万2千円に。エビやイクラなど他の商品も値上がり傾向だが、同市簗瀬町、主婦(88)は「家族で正月を迎えるので、買わない訳にはいかない」と話した。

 正月の食卓を彩るおせち。予約販売を行う宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店宇都宮本店では4〜5人用が人気だ。昨年はコロナ禍の影響で、1〜2人の少人数用が好まれる傾向だった。

 購入者の平均単価は1千円ほど上がり、高価な商品から売れた。担当者は「旅行などを控え、少しぜいたくをしようというお客さまが多いのでは」と見立てた。

スーパーの一角に並ぶ正月食材。カニを中心に値上がりしている=27日午前、宇都宮市平松本町

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