“サンショウウオのすみか守ろう”世界文化遺産構成資産 平戸・安満岳で清掃 中野地区まち協

池に流れ込んだ土砂を取り除く参加者=平戸市、安満岳

 平戸市の市民団体、中野地区まちづくり運営協議会はこのほど、希少生物のカスミサンショウウオの繁殖場所となっている平戸島北西部の安満岳(標高536メートル)山頂に近い池を清掃し、流入した土砂の一部を取り除いた。家族連れや同協議会、地元自治会関係者ら約40人が希少生物の生息環境を守ろうと汗を流した。
 池は、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」である安満岳の山頂に通じる参道から脇道を下った場所にある。8世紀前半に建立され、明治初期に廃止された西禅寺の庭園とみられる。近年は地元住民の手が入らなくなり、荒廃が進んでいる。
 同協議会は2020年から21年にかけ、安満岳を調査し、カスミサンショウウオの繁殖場所になっていることを確認。国有林内で、世界遺産構成資産のエリア内にあるため、樹木の枝払いは自由にできず、関係機関と調整を重ねて活動にこぎ着けた。
 池は場所によっては大人の膝の高さより深く土砂が流れ込み、干潟のような状態。参加者は枝や落ち葉をバケツリレーの要領で1カ所に集積。縁石に沿ってスコップで土砂の一部を取り除き、環境改善を図った。
 除去した土砂は土のう袋に入れ、現地で保管。後日、集めた枝葉と合わせて同協議会が処分する。
 同協議会事務局は「サンショウウオの産卵環境保全が第一義。その上で研究者や市の担当部署とも連携し、約150年前に廃止された歴史ある寺院の全容解明も目指したい」などと参加者に説明。池周辺の石垣など寺院遺構を案内した。
 同市主師町の男性自治会役員(71)は「小学生の時以来、初めて来た。荒れてしまっているが懐かしい。貴重な場所を守る活動に役立ちたかった」と話した。

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