年金運用は評価損、景気後退入り予兆も…2022年、日経平均は1年でいくら下落したか?

大晦日ですね、皆様にとって2022年はどんな一年でしたでしょうか?

市場もさまざまな動きがありました。今回は、激動の2022年の相場を振り返っていましょう。


エネルギー、半導体、インフレ……

2022年2月24日(木)、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって地政学リスクが改めて意識されたというのが、まず大きなトピックスだったといえます。ウクライナ危機でエネルギー価格の高騰、グローバリズムから世界の分断が加速しています。

さらに、半導体や台湾をめぐっての米中関係の深刻化というのが、引き続き2023年も懸念材料となりそうです。加えてインフレや金利上昇が景気後退懸念に結び付き、信用リスク拡大や連鎖が先行き懸念となっています。

世界的に進行した「インフレ」も今年印象深かったワードといえます。11月の消費者物価指数(CPI)は3.7%と前月の3.6%を上回っています。また日銀が12月27日(火)に発表した11月の物価の基調指標では、データの残る2001年以降で最高の伸び率となっており、インフレ圧力が強まっていることがわかります。

値上げが目立つ製品としては、食用油やタブレット端末、携帯電話や電球のほか、ガス代や電気代、マヨネーズやスパゲッティ、食品用ラップフィルム、ポテトチップスなども価格が大きく上昇しています。来年1月からも値上げの流れは続く見通しで、無印良品を運営する良品計画は、年明けから無印良品などで2023年の春夏商品全体のうち約2割の商品について平均+25%の値上げをすると発表しました。

家計に危機感を感じる方も増えていると思いますので、2023年はNISA拡充のニュースも追い風となり、投資をする方はさらに増えるかもしれません。

景気後退入りの兆候も

想定を超える過度なインフレに対して、FRBでは2022年実質ゼロ金利を終了し、2022年3月のFOMCから7会合連続で金利の引き上げが実施されました。11月のFOMCまでは0.75%のトリプル利上げが4会合連続で行われ、12月は利上げ幅が縮小したものの0.5%のダブル利上げとなっています。

米国の金融正常化、早期利上げの行く末を睨んで、2022年は株式市場が乱高下しましたね。米国の金融政策に振り回された年といっていいでしょう。

金利の引き上げは企業業績の悪化や景気後退を招く要因となりますが、利回り曲線のイールドカーブも2021年12月末時点では順イールドでしたが、2022年に曲線の傾きが緩やかになると、7月末には10年の利回りが3カ月を除く他の全ての期間を下回る完全な逆イールドカーブとなりました。

長期債の10年国債と短期債を比較すると、10年国債が短期債より利回りが高い状態が普通で、それが順イールドなのですが、逆イールドというのは短期金利が長期金利の水準を上回って、長短金利が逆転している状態をいいます。この逆イールドというのはリセッション入り、景気後退局面のシグナルの一つといわれています。

過去の景気後退局面の半年から2年前には必ず逆イールドが見られていることで、2023年以降に景気後退入りが予測できるといえるのではないでしょうか。

日本の年金運用も評価損

インフレ動向で重要な経済指標の発表は2023年も要チェックです。1月は6日(金)に雇用統計、12日(木)にCPIの発表がありますので、おさえておきましょう。

2022年は株式60%、債券40%という伝統的なポートフォリオのパフォーマンスが、100年間で最悪の結果になった模様です。Bloombergによると、米国の債券ファンドで2022年に損失免れたのはたったの1%とのこと。100年間機能していたポートフォリオが機能しなくなっている−−つまり異次元の金融緩和など、これまで市場が経験してきていない事態によって、市場環境がこれまでの環境と変わってきているというリスクは認識しておいた方が良いのではないでしょうか。

日本の年金資金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、上半期で5.4兆円の評価損を計上しています。下半期で株安、債券安が進行したことによって、さらに損失額を拡大させている可能性もあります。

2022年は24年ぶりに実施した為替介入も大きなトピックスでしたね。為替介入の決定権は財務相にあり、神田財務官が介入の判断をして日銀がその代理人として実務を担う形となります。

円買いドル売り介入の場合、日銀が外貨準備のドルを民間銀行に売って円買い取引をします。民間銀行はドルを市場に売って円を市場で買うという取引をすることで円高方向に誘導します。9月と10月の円買い介入額は、あわせて9兆1,881億円にのぼりました。データの残存する1991年4月以降の円買い介入の合計額の4兆8,793億円を超える金額となっています。

2022年「相場の値動き」おさらい

2022年の日経平均株価の騰落もチェックしましょう。2021年の大納会である12月30日(木)の終値は2万8,791円71銭。2022年12月30日(金)の終値は2万6,094円50銭でしたので、年間では2,697円21銭の下落となります。

2022年の年間高値と年間安値をチャートで見てみると、1月5日(水)の終値である2万9,332円16銭が年間の高値となりました。一方、年間安値は3月9日(水)の終値2万4,717円53銭となっており、約16%のボラティリティの高いレンジ、ボックス相場だったと言えそうです。

TradingViewより

S&P 500を見てみると、1月3日(月)の年初来高値から、6月13日(月)に下落幅が20%を超えたことで弱気相場入りと判断されました。その後、下げメガホンの中で推移をして、ボラティリティの高い中で上下動しました。

TradingViewより


さて2022年の相場を振り返りましたが、来年も引き続き皆様に投資についてお伝えしていきたいと思います。

本年も誠にありがとうございました、来年もどうぞよろしくお願い致します。良いお年をお迎えください。

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